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【改訂版】カフェ開業の資金調達ガイド:公庫・信用金庫の“正しい歩き方”

「カフェを開きたいけど、いくらお金がかかるの?」「どこから借りればいい?」

そんな疑問を抱えている方に向けて、日本政策金融公庫(以下、公庫)と信用金庫(以下、信金)を中心に、カフェ開業に必要なお金の目安と、2025年時点の資金調達の考え方をわかりやすく整理しました。

まずは知っておきたい!カフェ開業にかかるお金の現実

カフェの開業には、物件取得費+内装工事+厨房機器+運転資金を合計すると、現実的には 800万〜1,500万円前後 になるケースがもっとも多いのが実感値です。

もちろん、

  • 自宅の一部を改装する
  • 設備の整った居抜き物件をうまく活用する

といった条件がそろえば、500万〜700万円台で収まる場合もありますが、あくまで「条件の良い例外」と考えておいた方が安全です。

代表的な費用の内訳は、次のようなイメージになります。

  • 物件取得費:家賃×約10か月分が“最初の壁”

物件取得費には、

  • 敷金・保証金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 前家賃 など

が含まれます。トータルで見ると、**「家賃×約10か月分」**がひとつの目安です。

  • 例:家賃20万円の物件 → 物件取得費だけで約200万円前後

ここを甘く見積もると、工事や機器の手配の途中で「資金が足りない」という状況に陥りやすくなります。

  • 内装工事費:居抜きか、スケルトンかで数百万円の差

内装工事は、一般的に坪単価で考えます。

  • 居抜き物件(既に飲食用の内装が残っている状態)
    → 目安:坪30万〜55万円程度
  • スケルトン物件(何もない状態からつくる)
    → 目安:坪50万〜100万円

同じ10坪でも、

  • 居抜き:300万〜550万円前後
  • スケルトン:500万〜1,000万円前後

と、数百万円単位で差が出ることも珍しくありません。
「すべて一から好きに作りたい」という気持ちと、「返済していける現実的な金額」のバランスを取ることが大切です。

  • 厨房機器費:何を“売り”にするかで数字が変わる

厨房機器の金額は、カフェのコンセプトによって大きく変わります。

  • エスプレッソマシン+グラインダー
    → セットで 50万〜200万円超 になるケースも珍しくありません。
  • 焙煎機(自家焙煎をする場合)
    → 小型でも 100万円弱
    → 中型以上で、ネット販売なども視野に入れると 300万〜500万円を超える ものもあります。
  • スチームコンベクションオーブンやデッキオーブン(パン・スイーツ用)
    → 1台 50万〜100万円前後 の価格帯が多く見られます。

また、中古が向いている機器と、中古に向かない機器があります。
状態やメンテナンス履歴によって当たり外れが出やすい機種もあるため、

「どの機器を新品にすべきか、中古でもよいか」

といった点は、ぜひリライブの講師陣など専門家に相談しながら決めることをおすすめします。

厨房機器のリースについて

初期投資を抑える目的で「リースも検討したい」というご相談もよくありますが、個人のカフェ開業では注意が必要です。

  • 開業当初は、そもそもリース契約が利用できないケースがほとんど
  • 利用できたとしても、通常の見積もりよりも機器の総額がかなり高くなる ことが多い

現在すでに会社を経営していて、法人としての信用や決算実績がある場合など、特別な理由があるケースを除き、リースを前提にした計画はあまりおすすめできません。
基本は「購入(新品+中古の組み合わせ)」を軸に考えておいた方が、トータルの資金計画が立てやすくなります。

  • 運転資金:半年〜1年分を目安に考える

運転資金には、

  • 仕入れ(コーヒー豆・食材・包装資材など)
  • 家賃・光熱費・通信費
  • 人件費
  • 自身や家族の生活費(個人事業の場合)

などが含まれます。

生活様式や家族構成によって必要額は大きく変わりますが、最低でも「半年〜1年分」程度の運転資金を目途に見ておくと安心です。

「物件取得費+内装工事+厨房機器」でギリギリまで使ってしまい、開業後すぐに運転資金が足りなくなるというケースが一番危険なので、“手元に残すお金”を先に決めてから、残りを初期投資に回すイメージが安全です。

公庫ルート:2025年版「創業融資の王道」

公庫は、創業したばかりで実績や担保がなくても借り入れしやすいのが大きなメリットです。
据置期間(元金返済を猶予してくれる期間)も条件により最大5年程度まで設定でき、開業直後の資金繰りを助けてくれます。

(1)「新規開業・スタートアップ支援資金」

2025年時点で、創業期の代表的な制度が 「新規開業・スタートアップ支援資金」 です(名称が整理され、従来の新規開業資金などが統合されたイメージです)。

  • 対象
    • 新たに事業を始める方
    • 事業開始後おおむね7年以内の方
  • 資金使途
    • 設備資金+運転資金
  • 融資限度額
    • 最大7,200万円(うち運転資金4,800万円まで)
  • 返済期間(国民生活事業の代表的な枠)
    • 設備資金:20年以内(据置最大5年以内)
    • 運転資金:10年以内(据置最大5年以内)

カフェ開業では、実際にはこの上限よりもずっと小さい金額で利用するケースが一般的ですが、「カフェ1店舗+将来の増床・2号店」も見据えた設計が可能な枠組みと言えます。

(2)生活衛生貸付:カフェと相性のよい専門枠

飲食業・喫茶店は、公庫の中で**「生活衛生関係営業」**に区分されます。
この分野には「生活衛生貸付」という枠があり、カフェ開業と相性のよいメニューがあります。

  • 一般貸付(生活衛生関係営業向け)
  • 生活衛生新企業育成資金
  • 生活衛生改善貸付(いわゆる「衛経」) など

特に「衛経」は、要件を満たせば無担保・無保証で2,000万円まで利用でき、小規模なカフェの改装・設備投資や運転資金の補強に向いています。

(3)公庫が見るポイント(2025年版)

公庫の審査では、形式的な「自己資金要件」は緩和されてきていますが、実務的には次の3点が非常に重視されています。

  1. 創業計画書の完成度
    • 「なぜこの場所で、このコンセプトのカフェなのか」
    • 「誰に、どんな価値を、いくらで提供するのか」
      というストーリーが、数字とともに説明できるかどうか。
  2. 自己資金の妥当性
    • 総事業費に対して、**自己資金が2〜3割(できれば3分の1前後)**あると、計画として無理がないと判断されやすくなります。
  3. 資金繰りの見通し
    • 席数・客単価・回転数から売上を組み立て、家賃・人件費・原価率などを差し引いたうえで、返済原資がどの程度残るのかを明確に示すことがポイントです。

信用金庫ルート:保証協会+制度融資を活用する

信金を通じた融資では、信用保証協会+自治体の制度融資を組み合わせるのが一般的です。

(1)信用保証協会付き融資

信用保証協会は、創業者が金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人の役割を担う機関です。

  • 創業者は、信金からお金を借りる
  • 万が一返済できなくなった場合、一定割合を保証協会が立替える

という仕組みにより、実績のない創業者でも信金が貸しやすくなるメリットがあります。

(2)自治体の制度融資と組み合わせる

多くの自治体では、

  • 信金などの地域金融機関
  • 信用保証協会

と連携して、**金利や保証料の一部を自治体が負担する「制度融資」**を用意しています。

  • 利子の一部または全部を補助
  • 保証料の一部を補助

といった内容が代表的で、トータルの借入コストを抑えられる可能性があるのが制度融資の魅力です。
具体的な条件や枠は自治体ごと・年度ごとに異なるため、最新情報の確認が必須です。

(3)信金ルートの特徴

  • 審査は
    1. 信金(金融機関)の審査
    2. 信用保証協会の審査

二段階になるため、資金実行までに1〜2か月程度かかることが多い点は押さえておきたいところです。

一方で、日々の入出金や両替、決済サービス、将来の追加融資など、地域密着で長く付き合える“かかりつけ金融機関”になりやすいという強みがあります。

カフェならではの資金計画づくりのヒント

資金の「沼」にはまらないために、次のポイントを意識して計画を立ててみてください。

  • 内装は「見せ場に集中投資」+「居抜きのインフラ活用」
  • お客様から見えるファサード(外観)・看板・照明・家具などの「見せ場」にメリハリをつけて投資
  • 排水・換気・電気容量などのインフラが生きている居抜き物件を選べば、スケルトンに比べて数百万円単位で初期費用を削減できることもあります。
  • 厨房機器は「新品+中古の組み合わせ」が基本
  • 味に直結するエスプレッソマシン・焙煎機・オーブンなどは、
    多少予算をかけてでも信頼できるものを選ぶ
  • 製氷機・冷蔵庫・作業台などは、中古や型落ち品も視野に入れる

というように、機器ごとに“投資の強弱”をつけることがポイントです。
中古機器やリースについては、先ほど触れた通り、機器の特性や契約条件を専門家に確認しながら進めるのが安全です。

  • 物件取得費と運転資金を「先に確保」する
  • 物件取得費は 家賃×約10か月分 をひとつの箱として確保
  • さらに、生活費も含めた半年〜1年分の運転資金を別枠で確保

そのうえで、残りを内装・機器に配分していくと、開業準備〜オープン半年〜1年の間に資金ショートを起こすリスクを大きく減らせます。

実務の進め方:資金調達のチェックリスト

最後に、公庫・信金共通で押さえておきたい“正しい歩き方”をステップでまとめます。

  1. 創業計画書と数値計画を作り込む
    • 「どんなカフェを、いくらで、何席で、誰に向けて開くのか」
    • 売上・経費・返済額を月次ベースで整理し、「この計画なら続けられる」と説明できるレベルまで落とし込む。
  2. 見積書・契約条件を揃える
    • 内装工事見積
    • 厨房機器リスト(メーカー・型番・金額)
    • 物件条件(賃料・保証金・更新料など)
      など、融資額の根拠となる書類を一式用意。
  3. 「公庫メイン」か「信金×制度融資メイン」か、大枠のルートを決める
    • 創業期のキャッシュフロー重視 → 公庫(新規開業・スタートアップ支援資金+生活衛生貸付)
    • 金利・保証料補助や地域金融機関との付き合いを重視 → 信金+信用保証協会+自治体制度融資
  4. 物件契約・工事スケジュールから逆算して申し込む
    • 物件契約日・工事着工日・オープン予定日から逆算し、公庫は数週間〜、信金×保証協会は1〜2か月程度の審査期間を見込んでスケジュールを組む。

リライブフードアカデミーの開業サポートと実績

リライブフードアカデミーでは、

  • カフェのコンセプトづくり
  • 立地・物件の選定
  • 売上計画・年間経費計画・収支計画の作成
  • 公庫・信金向けの創業計画書のブラッシュアップ

までを一貫してサポートしています。

その結果として、**卒業生の融資獲得率は95%以上(公庫・信金等を含む)**という高い実績を維持しているだけでなく、

  • 一人ひとりの自己資金の状況
  • カフェの規模・コンセプト・将来の目標

に合わせて、**「いくらまで借りるのが適切か」「どこに優先的に投資すべきか」**を具体的にアドバイスしています。

無理のない返済計画と、開業後の運営を見据えた資金計画を一緒につくることで、融資の獲得率の高さと、開業後の継続率の高さを両立できていることがリライブの大きな強みです。

まとめ:まずは「どんなカフェを、いくらで、何席で」

カフェ開業の資金計画は、

  • 物件取得費
  • 内装工事費
  • 厨房機器費
  • 半年〜1年分の運転資金

を合計して、800万〜1,500万円前後をひとつの目安にしつつ、「自分のカフェにとって本当に必要な投資はどこか」を見極めることが大切です。

そのうえで、

  • 公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」「生活衛生貸付」
  • 信金+信用保証協会+自治体の制度融資

といった公的な資金調達のレールをうまく使い分けることが、開業を成功させる大きな鍵になります。

資金調達について、もっと具体的に知りたい方へ

  • 「今の自己資金だと、どのくらいの規模が現実的?」
  • 「公庫と信金、どちらから先に相談した方がいい?」
  • 「自分の計画書を見てもらって、ダメ出ししてほしい」

こうした個別のご相談も、リライブフードアカデミーの個別説明会・開業相談で承っています。

具体的な数字や事例を交えながら、あなたのカフェ計画に合った**“現実的で続けられる資金計画”**を一緒に組み立てていきましょう。

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