パン職人になる方法3つ!1日の仕事の流れ・収入・資格・開業のフローも解説
目次
世代を問わずパンの需要が増えるにつれて、ニーズの高い職業として注目されているパン職人。
そんなパン職人になる方法がいくつあるのか、そもそもどのようなスキルが必要なのかご存知ですか?
そこで本記事では、パン職人の1日の仕事の流れ・収入の相場・有利な資格・パン屋を開業するプロセスなどを徹底解説します。
パン職人(ブーランジェ)の仕事内容とは?
焼き立てのパンの香りは、それだけで人を幸せな気持ちにしてくれます。
だからこそ、パン職人には「毎日パンが焼ける香りに包まれて幸せそう!」「パン好きな人にとって最適な職業」というイメージが定着しているのでしょう。
子供の頃から「将来の夢はパン屋さん!」と思い描いていた方も多いようです。
しかし、消費者が抱いているのはあくまでイメージですから、目指す前にリアルな実情を理解しておきましょう。
ここからは、より具体的な仕事内容が分かるよう4つの側面から詳しく解説します。
▼パン職人の特徴
- 必要な能力
- 選べる働き方5つ
- 1日の仕事の流れ
- 収入相場
求められる能力
フランス語の「ブーランジェ」という名称が連想させる通り、一見オシャレで優雅にも思えるパン職人。
その反面、実際の仕事内容は重たい小麦粉などを運んだり作業のほとんどが立ち仕事だったりと、かなりハードワークなのが実情です。
しかも、作業範囲が幅広いため必要な能力も多岐にわたります。
▼必要な能力
- 力仕事や立ち仕事に耐えられる「体力と腕力」
- 早朝から仕込みに取り掛かれる「早起き体質」
- 接客に欠かせない「コミュニケーション力」
- いち早くトレンドを察知する「感性」
- 新しいパンを考案する「オリジナリティー」
- 決められた時間内に複数のパンを仕上げる「段取り」
- 複数のスタッフと同時進行で完成させる「協調性やチームワーク力」
パン屋や教室を開業する場合は、上記に加えて「経理・会計」の知識も必要です。
なお、パン職人の向き・不向きについては下記の記事でも詳しく解説しております。
▼関連コラム
選べる働き方5つ
パン職人の働き方を大きく分類すると、「開業」と「就職」の2種類に分けられます。
▼開業の種類
- 個人経営のパン屋さん
- パン作り教室の先生
開業の最大の魅力は、「こだわり」や「理想」が貫けるという点でしょう。
ただし、資金集めから集客などのマーケティングまでの全てをオーナー自身がプランニングしなければなりません。
「やりがい」がある反面、パン作り以外にも求められるスキル・専門知識が多いため、ほとんどの方がプロのサポートを受けています。
一方、パン職人としての就職は「今すぐ働きたい!」という方だけでなく、「開業準備の一環として現場の実績を積んでおきたい!」という方にとっても有効な手段です。
▼就職先の種類
- パン屋さんの調理スタッフ
- レストランやスーパーのベーカリー部門
- パンメーカーの調理担当
ただし、正社員を募集している店舗・企業が少ないうえ、未経験者の場合はアルバイトやパートがほとんどです。
特に名の通ったレストランやホテルのベーカリー部門では、それなりの経験値が求められます。
1日の仕事の流れ
パン職人の仕事内容を理解するには、1日の流れを知るのが一番の近道です。
とは言え、1日のスケジュールは雇用形態やイートインスペースの有無、開店・閉店時間によって異なります。
ここでは、個人で経営しているパン屋さんの基本的なスケジュールについてご紹介しましょう。
▼1日の流れ
- 5~6時:当日分の仕込みを始める
- 9~10時:開店へ向けて、焼き上がったパンから陳列していく
- 10~12時:ランチタイムに向けて2クール目のパンを焼き上げながら接客する
- 12~13時:販売、接客の対応
- 13~15時:売り切れたパンを補充しつつ、スタッフと交代で休憩を取る
- 15~16時:夕方からのニーズに合わせて、必要数を追加で焼き上げる
- 16~19時:接客の合間に、翌日分の仕込みを始める
- 19~20時:閉店後、店舗や厨房の後片づけをする
朝食用に焼き立てを購入するお客様も多いため、早朝から開店するパン屋も珍しくありません。
提供する品数にもよりますが、開店時間の3~4時間前には仕込みを始めるのが一般的です。
収入相場
パン職人の収入相場は、厚生労働省が一般公開している職業別の賃金構造基本統計調査で確認することができます。
ここでは、従業員規模が10~999人までの企業で働くパン・洋生菓子製造工について、3年間の給与推移を比較してみました。
2017年 |
2018年 |
2019年 |
|
---|---|---|---|
平均年齢 |
39.2歳 |
39.5歳 |
40.2歳 |
勤続年数 |
8.6年 |
10.1年 |
10.8年 |
労働時間/月 |
169時間 |
165時間 |
166時間 |
超過労働/月 |
23時間 |
22時間 |
22時間 |
月額給与 |
240,900円 |
243,000円 |
251,000円 |
年間賞与 |
300,000円 |
314,300円 |
394,500円 |
平均年収 |
3,190,800円 |
3,230,300円 |
3,406,500円 |
出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(企業規模計10人以上)
上記のデータから、平均年収が3年間で21.5万円アップしていることが分かります。
とはいえ、上記の統計は基本的に正社員のみが対象になっているうえ、そもそも従業員が10人以下の小規模店舗は含まれていません。
地域によって多少の違いはあるものの、個人で経営している小規模パン屋でのアルバイト料は800円~1,000円の時給ほどと最低賃金の水準です。
下積みにあたる「見習い期間」はアルバイトとして雇用し、一人前と認められて初めて正社員として採用されるケースも珍しくありません。
一方、独立・開業したオーナーが集客に成功した場合は、雇われるよりも多くの収入が得られる可能性を秘めています。
複数店舗をチェーン化するほど事業を拡大できれば、オーナーとして新商品の開発と経営だけに専念することも可能です。
パン職人に調理師免許は必要?おすすめの資格3つ
結論から言うと、パン職人には「調理師免許」も「特別な資格」も必要ありません。
ただし、就職・開業を問わずパン職人として有利になる資格はあります。
初心者が一からパン職人を目指す場合は、スキルの裏付けとなる下記のような資格を取得しておいた方が良いでしょう。
▼パン職人に有利な資格
- パン製造技能士
- 製菓衛生師
- サービス接遇検定
パン製造技能士
パン製造技能士とは、パン生地の発酵方法や品質管理といった製パン技術を認定する国家資格です。
試験は学科と実技に分かれており、等級ごとに受験資格が異なります。
▼受験資格
- 2級:2年以上の実務経験、または専門学校などで必要な過程を修了
- 1級:7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経
- 特級:1級合格後、5年以上の実務経験
製菓衛生師
製菓衛生師とは、衛生に関わる知識・法律・技術を認定する国家資格で、下記のようなメリットがあります。
▼製菓衛生師を取得するメリット
- 開業に必要な「食品衛生責任者」の資格を取得する際、講座の受講が免除される
- 海外で働くために必要な「就労ビザ」の審査が有利になる
- 衛生のプロが働いている飲食店としてお客様に信頼されやすい
2年以上の実務経験、または養成施設で1年以上勉強することで受験資格が得られます。
サービス接遇検定
サービス接遇検定とは、高度な接客スキルを認定する民間資格で等級によって目指すレベルや試験内容が異なります。
目指すレベル |
試験内容 |
|
---|---|---|
3級 |
初歩的な知識と技能 |
筆記試験のみ |
2級 |
基本の知識を応用する力 |
筆記試験のみ |
準1級 |
基本の言動や接客応答 |
面接試験のみ |
1級 |
高度な接客技術や接客態度 |
筆記試験・面接試験 |
一昔前のように、「パン職人=厨房担当」という認識は通用しなくなっています。
飲食サービス業である以上、接客マナーはパン屋の必須スキル!たとえイートインスペースがなくテイクアウト専門だとしても、役立つシーンは必ずあるはずです。
パン職人になる方法3つ
ここからは、パン職人になる3つの方法について個別に解説します。
▼パン職人になる方法
- 製パンを学べる専門学校に通う
- 現役のパン職人に弟子入りする
- パン屋さんで働きながら学校に通う
製パンを学べる専門学校に通う
専門学校への入学は、パン職人を目指す最もスタンダードな方法です。
多くの方が専門学校を選んでいる理由として、下記のメリットが挙げられます。
▼専門学校へ通うメリット
- 製パン技術の実習、製菓や食品に関する理論、栄養知識、接客スキルの全てがまとめて学べる
- 卒業と同時に「パン製造技能士2級」が取得できる
- 「製菓衛生師」取得に必要な知識が身に付く
- 疑問が湧いたタイミングで、すぐに質問できる
- 同じ夢を追う仲間ができる
- 開業や就職についてサポートが受けられる
ちなみに、「通学と通信講座を比較したい!」という方は下記に記事をご一読ください。
▼関連コラム
現役のパン職人に弟子入りする
「憧れのパン職人の技を受け継ぎたい!」「より実践的な方法で手に職をつけたい!」という方に人気なのが、現役のパン職人に弟子入りする方法です。
ただし、下記のようなデメリットから独り立ちするまでに時間がかかるケースも少なくありません。
▼デメリット
- 厨房を担当させてもらえるまで、接客や裏方の仕事をこなさなければならない
- 本業が忙しいため、手取り足取り教わる時間が限られている
- 資格取得に欠かせない学術的な基礎知識まで指導してもらえるとは限らない
- マーケティングについての最新情報が得られない
料理人と同じく、ほとんどの場合は下積み期間が避けられないようです。
▼関連コラム
「パン学校で勉強するよりもお店で修行をした方がいい」という意見について
パン屋さんで働きながら学校に通う
「早く一人前になりたい!」「時間を効率的に使いたい!」という方には、パン屋さんで働きながら専門学校に通う方法がおすすめです。
まさに、専門学校と弟子入りの「イイとこ取り」!学校で習ったことを職場で実践できる分、製パン技術・接客スキルの両方が同時進行で身に付きます。
ただし、パン屋の仕事は早朝から始まるため夜間の通学は大きな負担に成り兼ねません。
働いているパン屋さんの定休日に通える学校が理想的です。
パン職人として開業するためのフロー
パン職人を目指している方の多くが、独立・開業を最終ゴールに定めています。
この段落では、パン職人として開業するための一般的なプロセスをご紹介しましょう。
▼開業するためのフロー
- 1.テイクアウトのみかイートインスペースを設けるかなど、お店の「コンセプト」を決める
- 2.コンセプトに近い店舗をリサーチし、取り入れるべきアイディアをピックアップする
- 3.販売するパンの種類、品数を決める
- 4.月々の光熱費や人件費などの経費から逆算し、目標売上を算出する
- 5.数100万~1,000万円ほどの開業資金を準備する
- 6.立地、店舗の選定
- 7.厨房設備、厨房器具などの準備
- 8.開業時間や休業日を決定する
- 9.パン屋開業に必要な手続き、資格を取得する
- 10.集客マーケティングの戦略を立てる
なお、パン屋を開業する方法については下記の記事でも詳しく解説しております。
▼関連コラム
パン屋を開業するた前に知っておくべきこと・考えておくべきこと
まとめ
日本におけるパンのニーズは、主食であるお米に匹敵するほどの高さです。
その一方で、コンビニをはじめとするライバルが多いため、職人には材料の工夫や食感を活かしたオリジナルのパン作りが求められています。
手作りで勝負するパン職人だからこそ、就職・開業を問わず同業者と差別化が図れるかどうかがアピールポイントに繋がるのです。
なお、当校リライブではパン職人の育成コースをご用意しておりますので、ご興味のある方は公式サイトからお問い合わせください。