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カフェの開業支援!運営・店舗づくり・雇用に役立つ助成金や補助金

カフェを開業・運営するにあたり、必要となる資金の一部として使える「助成金」や「補助金」があるのをご存知ですか?

そもそもカフェを開業・運営するために一番必要なのは、言うまでもなく「資金」です。

助成金と補助金が活用できれば、自己資金や借入金が少なくても開業資金に余裕ができ、カフェ経営の安定化にもつながります。

そこで今回は、あまり知られていない助成金と補助金との違い、受けるための手続きについての基礎知識をまとめてみました。

1. 開業支援の王道!助成金や補助金を活用するメリット

すでにカフェを開業されている現役オーナーの中には、「助成金」や「補助金」を受けられたことがある方もおられると思います。

しかし、かなり多くのカフェ経営者が開業支援として活用できる助成金や補助金の存在に気づかず、自己資金や借入金のみで開業しているのも事実です。

まずは、助成金や補助金を活用することで得られるメリットについて見てみましょう。

▼助成金・補助金の共通メリット

  • どちらも返済義務がない
  • 足りない自己資金が補えて、開業資金に余裕が持てる
  • 借入金が軽減でき分、無理のない返済計画が立てられる
  • カフェ経営の安定化に繋がる

最大の強みは、受給した助成金・補助金には返済義務がないという点でしょう。

国や地方自治体などから「返済不要な支援金」が貰える仕組み、といった方がイメージしやすいかもしれません。

また、助成金および補助金は最もポピュラーな「開業支援」として定評がありますが、中には集客や雇用といったオープン後のカフェ経営に役立つタイプもあります。

つまり、カフェを対象とした助成金・補助金は「開業支援」であると同時に、「経営支援」でもあるのです。

2. 助成金・補助金とは?違いを8項目で比較

助成金も補助金も、受給したら返済する必要がないという点では同じです。では異なる点は何でしょうか?ざっくりと言えば、「担当する省庁」と「使い道」が異なるということです。

基本的には、助成金は雇用に関する給付金で厚生労働省の管轄になり、雇用保険料の一部から賄われます。一方、補助金は経営資金に関する交付金で、経済産業省が管轄するものと、県や市町村などの自治体が管轄するものがあり、税金から賄われます。

助成金は、主に人を雇用したときに受けられる給付金で、一定の条件が揃えば、年間を通じて申請ができます。対して補助金は、経営に必要となる資金の一部を受給できる交付金で、補助金全体の予算が年度当初には決定されているため、受給できる企業数に限りがあります。

更に、補助金は申請できる時期が決まっており、新年度当初の5月6月に集中しています。申請締切後、予算に枠がある場合には2次募集が行われることもあります。

助成金 補助金
主な対象 雇用 経営資金/開業支援
担当する省庁 厚生労働省 経済産業省/県や市町村などの自治体
財源 雇用保険 税金
支給条件 一定の条件を満たしている人全員 審査に通った人だけ
募集の制限 なし あり
申請時期 年間を通じて申請できる 補助金ごとに指定
募集の頻度 随時 年に1~2回ほど
申請期間(締切) 半年~通年ほど 約1ヵ月

なお、自分のカフェに適した助成金および補助金を探したい場合は、公的機関が運営している下記のサイトを参照してみましょう。

助成金・補助金・融資:J-Net21HP(独立行政法人中小企業基盤整備機構
補助金:補助金等公募案内(中小企業庁

3. カフェの開業資金づくりに役立つ補助金

カフェのオーナーを目指している方にとって、「開業資金づくり」に役立つ支援ほど魅力的なモノはありません。

開業資金づくりとして使える開業支援は4種類あり、その全てが「補助金」です。

なお、開業資金や運転資金の目安が分からない、売上の見通しがイメージできないという方は下記のコラムを参照して下さい。

▼参考コラム

3-1. 地域創造的起業補助金(創業補助金)

開業するときに利用できる補助金としては、起業補助金があります。その名のとおり、新しく起業した場合に申請できる補助金です。

ただ、補助金を申請するには、提出する書類作成がかなり大変です。

新規開業の場合、開業に必要となる経費総額を見積書などから算出し、補助金の使用目的を明確にしなければなりません。

自己資金額や借入金額の内訳書に借入金の返済計画書、5年間程度の経営計画書を作成する必要があります。

これらの必要書類を作成して提出期限までに申込みをしたとしても、受給できる保証がないのが補助金です。

3-2. 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、日本商工会議所および全国商工会連合会が運営している販路拡大サポートを目的とした補助金です。

従業員数が5人以下の新規・既存カフェの両方が対象になっており、補助金だけでなく販路拡大に役立つアドバイスも受けられます。

商品を売り込むための宣伝広告費に加え、新メニューの開発費も補助の対象です。

ただし、申請する際には経営計画書の提出が必要で、経費の2/3以内かつ上限50万円という制限が設けられています。

3-3. 新・ものづくり補助金

中小企業庁が管轄している「新・ものづくり補助金」の魅力は、何と言っても補助金の高額さでしょう。

国主体の開業支援だけあって、700~1,000万円までと小規模カフェなら開業資金のほぼ全てがカバーできるレベルです。

ただし、高額だからこそハードルが高いのも事実。他のカフェにはない「革新的なアイデア」や「独創的なコンセプト」などが求められます。

チェーン展開している大手カフェには真似できない斬新なアイデアをお持ちであれば、個人でも挑戦してみる価値はありそうです。

3-4. 事業継承補助金

事業継承補助金とは、たとえ後継者がいなくても事業者が廃業しなくて済むよう、経済産業省・中小企業庁が2017年度(平成29年度)に創設した制度です。

たとえば、家具店を継承した新オーナーがコーヒーショップの経営を始めるなど、従来の事業とは全く異なる新たな取り組みとしてカフェを開業するケースが当てはまります。

なお、受給できる金額は補助対象の経費2/3以内で、なおかつ100万円以上200万円以内です。

4. 自治体によって名称や内容が異なる補助金

この段落では、自治体によって名称や内容が異なる補助金2種類についてご紹介します。

4-1. 新規開業賃料補助金:家賃の負担を軽減

新規開業賃料補助金とは、東京都港区が家賃の一部を支援してくれる制度です。特に、オープンしたばかりのカフェオーナーにとっては大いに検討する価値があります。

▼新規開業賃料補助金の概要

  • 条件:申請時で創業1年未満/区内に事業所または店舗がある/住居と兼用していないなど
  • 募集枠:最大25件まで/募集枠を超えた場合は抽選もあり
  • 補助される金額:月額賃料の3分の1/最大5万円まで
  • 支援期間:1年間

こちらの補助金は自治体によって名称は異なるものの、東京だけでなく全国的に似たような制度が設けられています。

申請時の条件が創業2年と長く設定されていたり、補助される金額が家賃の50%まで認められていたりと、それぞれの自治体で独自のルールが設定されているのも特徴的です。

お住まいの市区町村でどのような支援が受けられるのか、窓口または公式ホームページで確認してみましょう。思いがけず、お得な補助金が受給できるかもしれません。

4-2. インバウンド対応力強化支援補助金:集客や設備投資の負担を軽減

インバウンド対応力強化支援補助金とは、「外国人旅行者のための多言語対応に取組んでいる店舗」を対象とした支援制度です。

ただし、補助金の名称は同一ながら、対象となる項目や給付金額などは自治体によって違います。

例えば、東京都内のカフェであれば下記の項目が補助金の対象です。

  • Wi-Fi設備
  • クレジットカードの決済機器
  • 電子マネーの決済機器
  • 英会話や接遇マニュアルの作成など、外国人旅行者の受入対応に必要な人材育成
  • 多言語対応の案内表示や防災マップの作成、メニューやホームページの作成など
  • 多言語対応タブレットの導入

東京都の規定では1店舗あたりの上限が300万円までとなっており、Wi-Fiの設備に関しては設置数×15,000円の合計と経費の50%を比較して、安い方の金額で給付されます。

ちなみに、2020年(令和2年)の募集期間は、9月1日(火曜日)~令和3年3月31日(水曜日)までと告知されており、補助金の申請額が予算額に達した時点で締め切られるそうです。

興味のある方は、インバウンド対応力強化支援補助金の窓口である公益財団法人 東京観光財団の公式ホームページにてご確認ください。

5. 設備や店づくりの開業支援として使える助成金・補助金

この段落では、カフェの設備投資や店舗づくりをサポートしてくれる助成金・補助金について解説します。

中見出し5-1 5-1. 受動喫煙防止対策助成金

ほぼ全ての対象が雇用や人材育成に関連している助成金の中で、例外的なのが受動喫煙防止対策助成金です。

喫煙室やシガーバーの設置・改修だけでなく、換気装置の設置も助成金の対象になっていますので、カフェの内装設備を検討する段階で視野に入れておくべき助成金と言えるでしょう。

カフェに助成される金額の上限は100万円、かかった経費の2/3と定められています。

▼参考コラム

カフェ開業前に知っておくべき喫煙・禁煙についてのトピックス

▼参考コラム

5-2. 分煙環境整備補助金

こちらは、主にエリア分煙に特化した補助金です。受給できる金額の上限は300万円、経費の4/5と規定されていますので、前述した受動喫煙防止対策助成金よりも手厚い開業支援と言えるでしょう。

▼カフェで分煙環境整備補助金が受給できる項目

  • 客席の一部だけを個室にしてエリア分煙にする設備費・改修費用
  • エリアを仕切るための壁やパテーションの設置
  • 空気清浄機などの設備費

5-3. 軽減税率対策補助金

デリバリーなどテイクアウトと従来のイートインを併用するカフェにとって、大きな負担になっている「複数税率」。そこで登場したのが、複数税率の対応レジや受発注システムの導入・改修などの費用をサポートする軽減税率対策補助金です。

なお、対象となる項目によって3タイプに分類されており、支給される補助金が大きく異なっています。

対象 補助金の上限 補助率
A型 複数税率対応レジの導入や改修など 200万円 1/2~4/5
B型 受注・発注システムの買い換えや改修など 1,000万円 3/4
C型 請求書管理システムの改修など 150万円 1/2~3/4

5-4. IT導入補助金

IT導入補助金とは、2017年から始まった比較的新しい支援制度です。すでに営業しているカフェはもちろん、開業支援としても活用されています。

POSレジやセルフオーダー端末といったITツールの導入費用に対する補助金で、資金面だけでなく業務の効率化によって売上アップに繋がるのも魅力です。

補助率は経費の1/2、支給額はA類型が40~150万円未満、B類型が150~450万円となっています。

6. カフェの開業支援として使える「補助金」の注意点

基本的に補助金は、使用目的の全額は補助してもらえません。平均的な助成率は使用目的金額の2分の1から3分の2で、補助金額にも上限があります。

また、補助金の認可が下りる前に、補助金の使用目的として申請した工事の開始や設備の購入を行ってはいけません。あくまでも、認可が下りてから行わないと補助金が交付されないのです。

補助対象事業は指定された期限までに終了し、領収書などの控えとともに報告書の提出をしなければいけませんし、補助金を受給した後数年間は、決算書の提出など経営状況の報告を求められます。

当然、税務申告も適正に行わなければなりません。国や自治体の補助金の中には、商工会議所や商工会などの継続的な経営支援を受けることが条件となっていることもあります。補助金は種類も多岐にわたりますし、自治体によって独自の補助金を設けているところが多いのです。

補助金について詳しく知りたい場合には、中小企業庁が各都道府県と政令指定都市に「中小企業支援センター」を設置していますから、まずここで無料相談を受けることをお勧めします。

7. カフェ開業時の雇用・人材育成に関する助成金

雇用・人材育成に関する支援は補助金ではなく、すべて助成金に該当します。

中でも、カフェの開業支援としておすすめしたいのが下記の2種類です。

  • 特定求職者雇用開発助成金:開業支援または経営支援
  • トライアル雇用助成金:開業支援または経営支援

なお、すでにカフェの運営が軌道にのっている場合は、より経営支援に適している下記の助成金を検討してみましょう。

  • 特定求職者雇用開発助成金:開業支援または経営支援
  • キャリアアップ助成金:経営支援

7-1. 特定求職者雇用開発助成金

広く活用されている助成金として、特定求職者雇用開発助成金があります。

継続して雇用をしなければならず、母子家庭の母親や障害者、高齢者、就職氷河期に正規雇用ができなかった人を雇用した場合、既卒者、中退者が応募可能な求人募集を行って雇用した場合などに受給できる助成金です。

受給できる金額は、雇い入れた人によっても異なります。

7-2. トライアル雇用助成金

安定的な就業を希望する未経験者を試験的に雇い、最長3ヵ月受給できるのがトライアル雇用助成金の特徴です。

下記の4コースに分かれており、月額の支給額は労働者1人あたり4万円、母子家庭の母親または父子家庭の父親であれば5万円になります。

  • 一般トライアル
  • 障害者トライアル
  • 障害者短時間トライアル
  • 若年・女性建設労働者トライアル

8. 雇用・人材育成に関する「助成金」の注意点

これらの助成金は、ハローワークまたは特定地方公共団体、厚生労働大臣の許可を受けた民間の職業紹介事業者の紹介による雇用でなくては対象になりません。

つまり、ハローワークに求人募集を出しておかないといけないということです。

また、雇用・人材育成に関する助成金の中には、申請書類を提出するときに「就業規則」を求められる場合があります。

ただし、パートやアルバイトを含めて雇用する人数が10名未満の場合には作成や届け出の義務はありません。

とはいえ、人を雇用する場合には作成して配布しておいた方がトラブル防止になるでしょう。

助成金の申請書類や就業規則などは、社会保険労務士に作成依頼をした方が、手数料はかかりますが間違いがなく、安心できます。

9. カフェ対象!新型コロナ関連の助成金・補助金・融資

最後に、カフェの経営者が使える新型コロナ関連の支援制度を4種類ご紹介します。

特別家賃支援給付金制度(個人事業主)

  • 1店舗経営:月額25万円
  • 複数店舗:月額50万円

▼インバウンド需要回復緊急支援事業助成金

  • 対象経費:衛生管理の改善に必要な設備/機器の整備・業態転換などを図るための改装費
  • 補助金額:最大1,000万円
  • 補助率:1/2

▼小規模事業者持続化補助金(特別枠の制度拡充)

  • 補助金額:最大100万円
  • 事業再開枠:別途50万円

▼衛生環境激変特別貸付

  • 融資限度額:別枠1,000万円
  • 返済期間:7年以内
  • 金利:基準利率

まとめ

助成金と補助金。

このような制度を活用できる知識の有無で、準備すべき開業資金の総額に大きな違いが出てきます。

だからこそ、カフェの開業支援として使わない手はありません。

資金面での支援を受けられるというのは、カフェの開業前後を問わず大きな助けになります。

ただし、常に自分から情報を求める姿勢が必要です。

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