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意外と知られていない?パンに関する資格まとめ

パン好きなら一度は憧れる資格の取得。とはいえ、個人的に趣味としてパン作りを極めたい方とプロを目指している方では、取得すべき資格が全くことなります。

そこで今回は、「パン職人に必須の資格はあるのか?」という疑問を明らかにしたうえで、パンに関する国家資格・民間資格・パン屋の開業に必要な届け出についてまとめてみました。

パン職人に資格は必要か?

結論から言うと、パン職人になるために調理師免許などの資格を取得する必要はありませんし、学歴や年齢制限もありません。

つまり、製パン技術を認定する検定試験などの合否を問わず、「パンを焼くスキルと経験」させあれば誰もがパン職人を名乗ることができるのです。

▼パン職人になる3つの方法

  • パン屋さんで働きながらスキルを磨く
  • 製パンの専門学校に通う
  • 現役のパン職人に学びながら学校に通う

ただし、個人事業主としてパン屋を開業する場合は「食品衛生責任者」の資格や「菓子製造許可」の届け出などが必須です。

▼関連コラム

パン職人になる方法3つ!1日の仕事の流れ・収入・資格・開業のフローも解説

パンの学校に通い、パン屋さんを開業しようと思ったきっかけの特集パートⅡ(ベーカリーコースの受講生の声)

パン作りに役立つ資格を取得するメリットとは?

製パン技術や専門知識を認定する資格を持っていなくても、パン職人になることは可能です。

とはいえ、必須ではないものの特定の「国家資格」や「民間資格」はパン作りのスキルアップに繋がるため、取得しておいて損はありません。

就職や転職時に有利になるのはもちろん、パン屋やパン教室を開業する場合はお客様や生徒さんから「有資格者=パン作りのプロ」と認識してもらうための証明にもなるのです。

▼メリット4つ

  • 製パンに関する専門的な知識、技術をマスターしている証明になる
  • パン業界での就職や転職を目指す際、アピールポイントになる
  • 基礎的な技術や知識が身につく
  • お客様からの信頼を得やすくなる
  • 技能手当を設けているパン屋もある

パン職人の国家資格

パンに関する資格を大きく分けると、専門の教育機関での学習経験や実務経験がなければ受験できない「国家資格」と、広く一般向けに門戸を開いている「民間資格」の2種類に分けられます。

まずは、2種類の国家資格についてご紹介しましょう。

▼パン作りの国家資格

  • パン製造技能士
  • 製菓衛生師

パン製造技能士

「パン製造技能士」とは、パン作りに特化した唯一の国家資格で、学科と実技試験に合格した人だけが厚生労働大臣より認可されます。

製パン技能を認定する資格なので、民間資格に比べて受験条件が厳しく設定されているのが特徴です。

「2級」から「1級」「特級」へと進むにつれて難易度が高くなっていきますが、その分スキルの証明として申し分ありません。

  2級 1級 特級
受験資格

下記の内1つを満たしている方

  • 2年以上の実務経験
  • 専門学校、短大、高専、高校専攻科を卒業
  • 厚生労働大臣指定の専修学校、各種学校を卒業

下記の内1つを満たしている方

  • 7年以上の実務経験
  • 2級合格+2年以上の実務経験
  • 1級合格後に5年以上の実務経験
難易度 中程度 難しい 難しい
合格率 約60% 約45% 非公開
合格ライン 実技試験=100点満点中60点以上/学科試験=100点満点中65点以上
試験内容 学科=選択50問/実技=課題のパン製造 学科=選択50問/実技=課題のパン製造 学科=選択50問/実技=製造工程の管理と指導
費用 学科試験=3,100円/実技試験=17,900円(東京都内の一例)

上記の一覧表に記載している費用は、「東京都職業能力開発協会」が公開している資料から引用しております。

ただし、本来の費用は受験者が満たしている条件および地域によって異なるため注意が必要です

製菓衛生師

パンに関連するもう1つの国家資格は、安全かつ美味しいお菓子作りに必要な知識・技術が求められる「製菓衛生師免許」です。

食の安全性に関心が寄せられている中、保存料や着色料などの食品添加物について専門知識を備えているスタッフが在籍していることで、お客様が何より重視する「安心」を提供することができます。

「製菓衛生師=パティシエの資格」というイメージが定着していますが、クッキーやアップルパイなどを提供するパン屋さんにとっても関わりの深い資格なのです。

▼製菓衛生師免許

  • 難易度:中程度
  • 合格率:学校で学んだ人=90%以上/実務経験のみ=70%程度
  • 資格の管轄:厚生労働省
  • 試験の運営:都道府県の知事
  • 免許の認定者:都道府県の知事
  • 受験資格:厚生労働大臣指定の製菓衛生師養成学校・専門学校で1年以上学んだ者、または2年以上の実務経験者
  • 試験の時期:東京都6月、神奈川県8月など都道府県によって異なる
  • 受験料の相場:10,000円前後(都道府県によって異なる)
  • 製菓衛生師免許の登録手数料の相場:6,00円前後
  • 試験科目:衛生法規3問/公衆衛生学9問/栄養学6問/食品学6問/食品衛生学12問/製菓理論18問/製菓実技のみ選択6問

製菓衛生師試験の難易度は、パン製造技能士の特級ほど高くはありません。

しかし、6科目すべての学科が四者択一のマークシート形式になっているとはいえ、全7科目と広範囲なのが難点。

課題が選択できる実技試験は、和菓子や洋菓子ではなく「製パン」を選びましょう。

なお、すでに特定の資格を持っている方には下記のような特典が与えられます。

▼有資格者への特典

  • 製菓衛生師の有資格者:パン屋さんの開業時に必ず必要な「食品衛生責任者」の資格を、申請するだけ取得できる
  • 菓子製造技能士1級または2級の有資格者:「製菓理論」と「製菓実技」が免除される

パン作りの民間資格

この段落では、国家資格よりも難易度が低く実務経験がなくても取得できる5種類の民間資格についてご紹介します。

▼民間資格

  • おうちパンマスター
  • パンアドバイザー
  • パンコーディネーター
  • パンマイスター
  • パンシェルジュ検定

おうちパンマスター

「おうちパンマスター」とは、約3万点もの製菓・製パン用の材料やレシピを取り扱っている大手ECサイト「cotta(コッタ)」が運営している実践スタイルの認定資格です。

忙しいママさんや主婦層でも続けやすいよう「世界一簡単なパン作り」をコンセプトに掲げているだけあって、代表講師である「吉永麻衣子先生」が考案したレシピは作業工程を必要最低限までショートカットしてシンプル化しています。

▼「おうちパンマスター」の講座で学べるレシピの特徴

  • オーブンがなくても焼ける
  • ボールだけで生地がこねあがるため、時間がかからず作業台がなくてもOK
  • ゆっくり発酵によって生地を数日保存でき、好きなタイミングで焼ける

レッスンで学べるレシピは約10種類と少なめではありますが、費用が安く難易度が低いため「自分や家族のために簡単なパン作りを学びたい初心者」や「習った時短レシピを生徒に紹介したいパン教室の先生」などにおすすめです。

おうちパンマスターの資格を取得する方法は、ライフスタイルに合わせて選べるよう「通信講座」と「認定教室」の2種類が用意されており、全ての課題をクリアした後に認定試験が行われます。

ちなみに、通信講座の場合は講師に直に質問できるチャット機能が使用できる時間帯も設けられているそうです。

  通信講座 認定教室
受験資格 特になし 特になし
受講料 16,500円(税込) 認定教室ごとに異なる
資格の登録料金 5,500円(税込) 5,500円(税込)
認定状の発行代金 8,800円(税込) 8,800円(税込)
受講スタイル 工程を収録した動画を見ながら課題をこなすので、ネット環境さえ整っていれば、365日24時間いつでもOK 最寄りの認定教室にて、マンツーマンまたはグループで受講する
資格取得までの期間 1~3週間ほど 認定教室ごとに異なる
自分の教室でレシピをビジネス利用 OK OK

パンアドバイザー

「パンアドバイザー」とは、パンを作ったり売ったりする側ではなく、あくまで「パンを食べる人」の視点で味わい方や楽しみ方などを学べる民間資格で、一般社団法人 日本野菜ソムリエ協会が認定しています。 「パンアドバイザー=パン食文化の発展に貢献できる人」と位置付けており、講座で身に付けたパンの魅力を発信・提案できる人材に与えられる資格です。

  パンアドバイザー養成講座
難易度 低め
受講スタイル 講座への出席
受験資格 特になし
費用 75,500円(税込)
追試受験料 12,000円(税込)
修了規定 全4回の講座を3回以上出席/修了試験の合格/課題の提出
求められるスキル 五感の全てを使ってパンの美味しさを深掘りし、
第三者に楽しみ方を伝えることができる力
受講者の傾向 パン好きな方/パン職人/パンメーカーの商品開発者

パンコーディネーター

「パンコーディネーター資格」とは、内閣府が管轄している「公益財団法人 日本生涯学習協議会」から監修・認定を受けている公的に近い民間資格です。

最大の特徴は、製法ではなく「パンを食べる側の視点」から、楽しみ方などを第三者にアドバイスできるプロフェッショナルの育成を目的としている、という点でしょう。

日本パンコーディネーター協会が実施しているセミナー形式の講義を受講した後、認定試験が行われます。 難易度が異なる初級から上級までの3ランクで構成されており、いずれも費用が10万円前後と高額なのが難点。

「初心者だけど2~3日間の短期集中型で資格を取得したい!」という方にはパンコーディネーター資格が、スクールのインストラクターを目指している方、または商品開発の担当者などパン業界のマーケティングを学びたい方にはエキスパート以上がおすすめです。

  パンコーディネーター(初級) パンコーディネーターエキスパート(中級)

パンコーディネーターアドバンス(上級)

難易度 低め 中程度 中程度
受験資格 特になし パンコーディネーターの合格者 パンコーディネーターエキスパートの合格者
受講スタイル 講座への出席 講座への出席 講座への出席
講習期間 3日間 2日間 2日間
費用 129,600円 86,400円 194,400円
試験会場 全国各地 東京と大阪のみ 東京のみ
求められるスキル 基礎知識からシーンやニーズに適した美味しい食べ方まで、幅広い知識 マーケティングを踏まえた企画力や提案力、プレゼンテーション技法 第三者に対し、総合的な知識を発信・アドバイスできるスキル
受講者の傾向
  • パンの食べ方を工夫することで普段の生活を豊かにしたい方
  • 就職や転職に生かしたい方
  • 製パン会社の商品開発担当
  • パン教室の講師を目指している方
  • レストランのメニュー開発者
  • 製パン会社の商品開発担当
  • パン教室の講師を目指している方
  • レストランのメニュー開発者

パンマイスター

「パンマイスター」とは、材料の選び方といった基礎知識はもちろん食パンから本格的な天然自家製酵母パンまで、全118種類ものレシピを通信講座(手作りパン講座)で学びながら取得できる民間資格です。

創芸グループ傘下の日本創芸学院(通信教育で40年の実績)が認定しているだけあって、修了生の中には文部科学大臣賞を受賞した生徒さんもいます。

特筆すべきは、製パン技術だけでなく「開業ノウハウ」や「経営スキル」といった、パン屋さんとして起業を目指している方に欠かせない要素までカリキュラムに含まれている、という点でしょう。

「定番レシピでは物足りない!」という主婦層から「パン屋さんを開業して世界の珍しいレシピを提供したい!」という方まで、幅広いニーズに適している民間屈指の資格です。

教材に含まれているDVDをお手本にしながらプロの製パン技術を習得したうえで修了試験に合格すると、「写真入り証明書」に加え一目でパンマイスターだと気づいてもらえる「バッジ」や「資格認定看板」まで有料で入手するこができます。

カリキュラムの内容と教材がこれほど充実しているにもかかわらず費用が良心的なのも、人気が衰えない理由なのでしょう。

  パンマイスター資格
難易度 中程度だが、初心者にとってはハードルが高め
受講スタイル 通信講座
受験資格 特になし
受講期間の目安 6ヵ月(無料で3ヵ月間の延長が可能)
費用 64,000円(分割払い可)
費用に含まれている教材 テキスト全5巻、DVD全3巻、ガイドブック、実習に使う食材や道具
求められるスキル 定番から難易度が高いレシピまでの製パン技術
受講者の傾向 学習時間を自由に選びたい方/パン屋さんの開業を目指している方

パンシェルジュ検定

「パンシェルジュ検定」とは、「パン作りを趣味として極めたい!」という方からプロのパン職人までを対象とし、製パンの技術はもちろん適切な器具の使い方や食べ方のマナー、衛生的な保存方法などマルチな知識・スキルを習得していることを証明する民間資格です。

「パン」と「コンシェルジュ」を組み合わせた名称からも分かる通り、最も難易度が高い1級に合格するころには第三者に向けてパンの魅力を伝えたり、経営学を踏まえた商品開発のアドバイスができるようになったりと、かなり高度な専門知識が身に付きます。

2009年から始まった新しい資格ではあるものの個人・団体・法人を問わず高い人気を誇っており、中には社員向けスキルアップ研修の一環として費用の一部を負担している企業もあるようです。

ただし、他の資格と違って通信講座や教室でのセミナー受講が用意されていないので、専門のテキストを使って「独学」で勉強しなければなりません。

「テキストを読むだけでは不安かも…」という方は、公式サイト上で公開されている級別の模擬問題またはダウンロードできる練習問題にも挑戦しておきましょう。

▼パンシェルジュ検定の「勉強方法」と「受験の流れ」

  • 受験する級に合わせて、市販されている公式テキストを購入する(中古あり)
  • 公式テキストを熟読し、練習問題や模擬試験をこなす
  • 公式サイトから受験の申し込みをする(試験会場のリクエスト可)
  • 試験日の約1週間前に受験票が郵送で届く
  • 受験票に記載されている試験会場にて検定を受ける(一部地域に限りオンライン受験も可能)

パンシェルジュ検定は基礎を学ぶ3級から専門知識を深める1級へ向けてレベルアップしていく仕組みになっており、それぞれカリキュラムの内容や難易度が異なります。

 

パンシェルジュベーシック(3級)

パンシェルジュプロフェッショナル(2級)

パンシェルジュマスター(1級)

受験資格

特になし

特になし

2級合格者

難易度

優しい

中程度

やや難しい

合格率

84%

65%

49%

受験料

4,700円(税込)

5,900円(税込)

7,700円(税込)

テキスト料金

2,090円(税込)

2,200円(税込)

3,520円(税込)

試験会場

仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・岡山・福岡から希望地をリクエスト

オンライン検定

なし

カメラ付きPCを自宅で使える方のみ

試験内容

・パンの歴史や文化

・3級までの内容

・2級までの内容を深掘り

・材料の特徴や選び方

・マーケットの傾向

・健康的なパンの食べ方

・器具の使い方

・業界のトレンド

・小麦粉市場や人口推移の動向

・食べ方のマナー

・飲み物とのマッチング

・開業に役立つサービスや経営学

・保存方法などの衛生管理

・天然酵母の種類や作り方

 

1級だけは受験資格が2級合格者に限定されていますが、実際には3・2級または2・3級の同日受験が可能です。

少しでも費用を節約したい方は「併願割引」「団体割引」「再挑戦割」などを上手に活用してみましょう。

公式テキストは中古でも出回っていますし、図書館で貸し出している地域もあるようです。

パン屋さんの開業に必要な資格と届け出(許可申請)4つ

パン職人に必須の資格はありませんが、パン屋を開業する場合は必要な資格と届け出があります。

▼パン屋の開業に必要な資格と届け出

  • 菓子製造業許可:パンの加工を行う事業所に義務づけられている届け出
  • 飲食店営業許可:全ての飲食店に義務づけられている届け出
  • 食料品等販売業許可:店内で食料品を販売する事業所に義務づけられている届け出

なお、パン屋さんとして起業を検討されている方は下記の記事も併せて参考にしてください。

▼関連コラム

パン屋を開業する前に知っておくべきこと・考えておくべきこと

パン屋の廃業が過去最多!倒産の原因と対策方法5つ

まとめ

資格の取得はスキルアップに繋がると同時に、「パンの楽しみ方」を底上げしてくれる1つの方法です。

だからこそ、「仕事に活かしたい」というプロ志向の方に限らず「趣味としてパン作りの幅を広げたい!」という方の多くが挑戦しているのでしょう。

趣味が高じて自宅カフェを開業したという生徒さんも少なくありません。

パン作りのスキルアップにご興味のある方は、当校リライブフードアカデミーの公式サイトから発信している情報を、ぜひ参考にしてください。

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