カフェの席数は何席が正解?
目次
“坪数×客単価×回転”で決める設計術

カフェ開業の相談で、必ずと言っていいほど出てくるのが「席数、何席が正解ですか?」という質問です。
気持ちはよく分かります。席数は売上に直結しそうですし、「多い方が稼げるのでは」と考えがちです。
ただ、現実には “席数を増やすほど儲かる” とは限りません。
むしろ開業初期は、席数を増やしすぎたことで オペレーションが破綻し、サービスが荒れ、リピートが落ちる ケースが非常に多いです。
このコラムでは、席数を「勘」ではなく 坪数×客単価×回転の考え方で整理しながら、**10坪・15坪・20坪それぞれの“現実的な席数のイメージ”**と、利益が出やすいレイアウトの考え方をお伝えします。
席数は「置ける数」ではなく「回せる数」で決める

席数の相談で多いのが、「この店、何席置けますか?」という発想です。
しかし、開業直後に現場で起きるのは、席数よりも “回らない問題” です。
たとえば、ピークになると次のような状態が起きます。
料理やドリンクの提供が遅い。レジが詰まり、注文待ちが発生する。下げ膳・洗い物が追いつかない。清掃が間に合わず、店が荒れる。結果として、評価が下がりリピートが落ちる。
つまり席数の正解は、「置ける上限」ではなく、**提供・洗い・清掃・会計まで含めて“破綻しない数”**です。
特にワンオペ(または少人数)前提なら、席数を増やすほど売上が伸びるのではなく、むしろ 回転が落ちることで売上が伸びない、という逆転現象が起きます。
席数設計の基本:坪数×客単価×回転で考える

席数を「勘」から「設計」に変えるための軸が、次の整理です。
- 坪数:物理的に確保できる空間
- 客単価:1人あたりの売上
- 回転:同じ席が何回入れ替わるか(滞在時間・提供スピードに左右される)
ここで重要なのは、席数はこの3要素のうち “どれか1つを増やせば良い”ものではない という点です。
席数を増やした結果、提供が遅くなり滞在時間が伸びて回転が落ちれば、売上は伸びません。
逆に、席数を抑えても、オペが整って回転が上がれば、結果として売上が伸びることがあります。
そして、現場で最も起きやすいのが「席数だけ先に増やして、回転が落ちる」パターンです。
席数は“数字の話”のようで、実は オペレーションと動線の話なのです。
10〜20坪は「坪当たり1.5〜2席」が基準。ただし業態で変わる
10〜20坪規模のカフェは、席数の目安として 坪当たり1.5〜2席がよく使われます。
ただし、ここで注意したいのが「店全体の坪数」と「客席部分(ホール)の坪数」は別だということです。
席数は本来、ホール面積で決まります。
ところが現場では、まず「店舗全体の坪数」から検討が始まるため、厨房・バックヤード・トイレ・動線を差し引く必要があります。
さらに、同じ坪数でも ドリンク中心か/フード中心かで、厨房の必要面積が変わり、結果として席数も変わります。
厨房比率の目安(ざっくりの基準)
- ドリンク中心(軽食最小):厨房 15〜25%
- フード中心(ランチ主力・仕込み多):厨房 25〜35%
フード比率が上がるほど厨房が必要になり、席数を詰めるほど現場が回らなくなります。
この「厨房の確保」が、実は席数設計の勝負どころです。
10坪・15坪・20坪の“現実的な席数の設定”(業態別)

ここでは、10〜20坪のカフェで「回りやすい」席数の目安を、ドリンク中心/フード中心に分けて整理します。
※物件形状や厨房設備量で前後しますが、初期検討として有効な目安です。
10坪:無理に増やさない(安定が最優先)
- ドリンク中心:8〜12席
- フード中心:6〜10席
10坪位だと計算上は席数を増やしたくなりますが、実際は厨房・洗い場・動線を確保するとホールが残りにくいサイズです。
ここで席数を詰めると「提供が遅い」「オペレーションが回らない」「清掃が追いつかない」が起こりやすく、結果としてリピートが落ちます。
10坪は席数で勝負するより、省工程のメニュー設計と、**短い動線で“気持ちよく回る店”**を作る方が成功率が上がります。
15坪:設計次第でバランスがとりやすいスペース
- ドリンク中心:12〜18席(推奨14〜16席)
- フード中心:10〜14席(推奨12席前後)
15坪は「ちょうど良い」と感じやすい反面、席数を欲張りやすいサイズです。
席数を詰めすぎると、ピーク時に注文・提供・洗いが詰まり、回転が落ちます。
このサイズは、席数よりも レジ渋滞を作らない導線、下げ膳が短いレイアウトで利益が変わります。
20坪:席数は増やせるが“人員設計”が必須
- ドリンク中心:18〜26席(推奨20〜24席)
- フード中心:14〜22席(推奨16〜20席)
20坪は席数を増やせますが、同時に「店の運営」が小店舗の域を超えます。
特にフード比率が高い場合、席数を増やしても厨房が回らなければ売上は頭打ちです。
20坪で席数を増やすなら、提供導線(すれ違い可能)/洗い場能力/スタッフ配置まで含めて設計しないと、店が荒れやすくなります。
“目安”を超えて最適化する方法:セルフ化・カウンター設計・下げ台の考え方

上記はあくまで目安ですが、物件の形等により効率は変化します。
そして実務上は、業態の特性を理解して工夫することで、より効果的な席数設定も可能です。
例えば、次のような工夫は「席数を増やす」のではなく、回転を落とさずに回す工夫です。
- お冷・カトラリー・砂糖ミルクなどをセルフ化し、提供回数を減らす
- セルフの下げ台を設け、下げ膳導線を短くする
- カウンター席を活用し、1人客の受け皿を作る(2名席の回転を守る)
- 注文導線を「入口→レジ→席」へ一直線にし、待ち列が店内動線を潰さないようにする
こうした工夫は、単なるレイアウトの話ではありません。
メニュー構成、運営人数、ピークの想定、客層、滞在時間まで含めて初めて決まる「店舗設計」の話です。
つまり、席数の最適解は 店のコンセプトと運営体制が決まらないと、最後まで確定できないのです。
客単価より先に「オペが破綻しない席数」を守る
席数に悩む方ほど、同時に「客単価も上げたい」と考えます。
もちろん客単価は重要です。しかし開業初期は順番があります。
先に客単価を上げようとしてメニューを増やす。工程が増え、提供が遅くなる。下げ膳・洗いが詰まり、現場が荒れる。回転が落ち、売上が伸びない。評価が下がり、リピートが落ちる。
こうなると、席数が多いほどダメージが大きくなります。
だから順番は、基本的に次の通りです。
①回る席数を決める → ②提供できるメニューに絞る → ③客単価はセット設計などで自然に上げる。
この順で設計すると、開業後に安定しやすくなります。
レイアウトで利益率が変わる:動線・下げ膳・レジ位置の三原則
同じ席数でも、レイアウトが悪いと利益は残りません。
理由は単純で、“時間”が増える=コストが増えるからです。
原則①:レジは入口付近、待ち列が動線を潰さない
レジが奥にあると、注文待ちの列が店内に溜まり、提供導線を塞ぎます。席数が増えるほどレジ渋滞が致命傷になります。
原則②:下げ膳→洗い場が短い(往復距離が短い店が強い)
下げ膳導線が長いと、ピーク時に必ず食器が山になります。結果として「提供できない」「清掃できない」に直結します。
原則③:通路幅を削って席数を増やさない
通路が狭いと、提供のたびに人がすれ違えず作業が止まり、結果的に回転が落ちます。“置ける席数”を増やすより、“回る動線”を守る方が売上につながるのが、開業初期の現実です。
まとめ:席数の正解は「坪数×客単価×回転」を崩さない設計

席数は多いほど良い、という単純な話ではありません。
10〜20坪のカフェは、基準として 坪当たり1.5〜2席が参考になりますが、実際は
- ドリンク中心か、フード中心か
- 厨房比率をどれだけ取るか
- 提供・洗い・清掃まで含めたオペ能力はどこまでか
- レイアウトが“回る動線”になっているか
これらを踏まえたうえで、**“回せる席数”**を決めるのが成功確率を上げる近道です。
そして実は大切なのは、それぞれの店舗のコンセプトはもちろん、運営体制や収益体制、ワンオペや店舗人員などのオペレーション設定で、レイアウトが大きく変わってくるという点です。
効果的な席数の設定やレイアウトは、店舗の成否を決めるとても大切な要素です。
だからこそリライブでは、単に「何席置けるか」ではなく、
コンセプト設計 → メニュー構成 → 厨房と動線 → 人員体制 → 回転と収益まで一体で考え、
“開業後に回る店”を前提に席数とレイアウトを決めていきます。
もし物件の図面がある場合は、席数だけでなく、厨房比率・導線・オペ体制まで含めて
「この店は何席なら安定し、何席から破綻しやすいか」を具体的に整理できます。
開業前の大切な設計段階だからこそ、遠慮なくご相談ください。





