カフェにテラス席を設定する方法!学校やオフィス街で集客するコツとは?
目次
学校やオフィス街で、ひと際目を引くカフェのテラス席。
当校に通う生徒さんの中にも、「オープンカフェを開業したい!」と希望されている方が増えています。
そこで今回は、カフェにテラス席を設けるメリット・必要な届け出や条件・集客効果を高めるマーケティングについてまとめてみました。
テラス席とは?
テラス席とは、飲食を提供するレストランやカフェなどで設けられている「屋外座席」または「屋外客席」のことです。
「自店舗の敷地内」または「歩道などの隣接エリア」にテーブルや椅子が並んでいるオープンカフェ、と言った方が馴染み深いかもしれません。
狩猟が盛んだった中世のヨーロッパでは、収穫した獲物をその場でバーベキューにして楽しむ習慣があり、これがテラス席の由来とされています。
その後、リゾート地はもちろん市街地のレストランやカフェ、ビアガーデンや食フェスなどでもテラス席が多用されるようになりました。
カフェにテラス席を設置するメリット
欧米では、1階に店舗を構えているカフェのほとんどがテラス席を設けており、日本でも増加傾向にあります。
なぜ日本でもテラス席を備えたカフェが増えているのか、その理由は下記のようなメリットが裏付けになっているからです。
▼テラス席のメリット
- 人目につきやすく集客効果が高い
- 開放感を提供できる
- コロナ対策になる
- 喫煙席として使える
- 学校の周辺など競合エリアで差別化が図れる
人目につきやすく集客効果が高い
お客様で賑わっている人気店かどうか入店しなくても判別できるのは、人目につきやすいテラス席ならではの特権でしょう。
人目につきやすいということは、それだけで高い集客効果をもたらしてくれるのです。
▼集客効果が高い理由
- 店舗の雰囲気が通行人に伝わりやすい
- テラス席で食事をしているお客様を通して、料理をアピールできる
- 新規のお客様にとって、店内に入店するよりも気軽に利用できる
- 空席状態が一目で分かる
- 待ち合わせに便利
- 子供連れや大人数でも、気兼ねなく利用できる
つまり、カフェのテラス席には「顧客の興味を惹きつける効果」と「入店のハードルを下げる」という2大メリットがあるのです。
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開放感を提供できる
風の感触、日差しの暖かさ、季節ごとに変化する風景などを肌で感じられるテラス席には、壁で囲まれた店内では味わえない「開放感」という大きな強みがあります。
同じ季節限定メニューでも、開放感あふれるテラス席で味わってもらう方が印象深くなるはずです。
▼テラス席で人気の季節限定メニュー
- 春:お花見気分が味わえる桜をモチーフにしたスイーツ
- 夏:清涼感たっぷりのマンゴージェラート
- 秋:キノコをふんだんに使ったクリームパスタ
- 冬:ホットワインや、マシュマロを添えたカフェラテ
より季節感と開放感を満喫してもらえるよう、キャンドルスタンドや紙ナプキンといった小物を使ってテラス席のコンセプトを演出してみるのもオススメです。
コロナ対策になる
常に空気が流れているテラス席は、天然のコロナ対策になるという大きなメリットを併せ持っています。
換気設備を設置しなくても3密が避けられるので、お客様に安心して食事やコーヒーを楽しんでもらえるのはもちろん、会話の制限も店内ほど厳しくありません。
▼会話の制限ルール
- 店内:黙食が基本
- テラス席:多少のおしゃべりなら、他の人の迷惑にならない
ポイントは、お客様の人数に合わせてテラス席のレイアウトを柔軟に変更できるかどうか。
3密を防止するには、2~3人掛けのベンチではなく、1人掛けの移動できる椅子を選びましょう。
喫煙席として使える
屋内での喫煙は、2020年4月1日に発布された東京都受動喫煙防止条例によって原則禁止となりました。
特に個人営業のカフェや喫茶店で禁煙席を設ける場合、「費用」と「スペース確保」という2つのハードルが障害になりがちです。
その点、屋外に分類されるテラス席なら極小店舗でも費用をかけずに喫煙席を確保することができます。
ただし、テラス席には喫煙者・禁煙者の両方が快適に過ごせるよう分煙ルールが定められており、下記に当てはまる場合は喫煙席として認められません。
▼テラス席の分煙NG例
- タバコの煙が店内に流れ込んでいる
- ドアを開けた時に、煙が店内に入る
規定通り分煙できる構造にするには、テラス席と店内を壁やガラス扉で仕切るのはもちろん、透明なビニールシートで囲うなどの工夫が必要です。
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学校の周辺など競合エリアで差別化が図れる
大学や専門学校の周辺、またはオフィス街といった人通りが多いエリアでは、わすか数ブロックに複数のカフェが乱立しています。
特筆すべきは、そういった競合エリアで独り勝ちしているカフェの多くが、テラス席を設けているという点でしょう。
人通りが多いエリアだからこそ、「入るならこのカフェがイイ!」と思ってもらえる個性を演出する必要があるのです。
テラス席の設置に必要な届出
カフェにテラス席を設けるには、保健所に「屋外客席設置届」を提出しなくてはなりません。
テラス席のあるカフェをこれから開業する場合はもちろんのこと、すでにオープンしているカフェにテラス席を追加する場合も届け出が必要です。
▼屋外客席設置届の申請方法
- 新規オープン:設計図を持参して保健所に事前相談に行く
- オープン後の追加:変更届を出してからの申請
詳しくは、東京都福祉保健局が公開している「飲食店営業及び喫茶店営業の屋外客席に関する要綱」を参照して下さい。
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テラス席を設置する条件
保健所への申請が義務づけられている「屋外客席設置届」を提出し、認可が下りればカフェにテラス席を設けることは可能です。
とはいえ、ただ必要書類を提出すれば良いという訳ではありません。
「屋外客席設置届」が認可され、営業を許可してもらうには下記の条件を満たしておく必要があるのです。
▼テラス席の条件
- 「レストラン」か「カフェ」である
- 「テラス席」と「店舗」が隣接している
- 店舗内の「席数・面積」を超えない
- 明確に区画して衛生的に管理する
- 厨房・調理・食品取扱設備の設置はNG
ちなみに、本記事でご紹介するルールは東京都福祉保健局「飲食店営業及び喫茶店営業の屋外客席に関する要綱」を基にしています。
テラス席を設置する際の条件は各自治体で若干違う場合もありますので、詳しくは所在地を管轄している自治体へお問い合わせください。
「レストラン」か「カフェ」である
テラス席が設置できる店舗は地域によって異なるため、あらかじめ所在地を管轄している自治体が定めている設置基準を確認しておきましょう。
例えば、東京都でテラス席の設置が認められているのは下記の2種類に限定されています。
▼テラス席が設置できる店舗(東京都)
- 飲食店営業(レストランなど)
- 喫茶店営業(カフェなど)
ただし、飲食店営業または喫茶店営業であっても下記に当てはまる場合はテラス席を設置することはできません。
▼テラス席が設置できない飲食店・喫茶店(東京都)
- テイクアウト専門店など、座席ナシの対面営業のみ
- キッチンカーなどの移動営業
- 期間限定の臨時営業
「テラス席」と「店舗」が隣接している
2つ目の条件は、「テラス席」と「店舗」が隣接していなくてはならないということです。
たとえ広い敷地を所有していても、基本的に離れた場所にテラス席を設けることはできません。
その理由は、各自治体には歩行者のために確保すべき通行スペースの基準が定められているからです。
▼東京都豊島区の歩道上における規定
- 交通量が多い場所:3.5m以上の歩行空間の確保が必要
- その他の場所:2m以上の歩行空間の確保が必要
詳しくは、東京都豊島区「区道におけるテラス営業などのための道路占用許可基準の緩和について」を参照して下さい。
ただし、例外として「道路の占有許可」が下りている場合に限り、横断歩道を渡った先にテラス席を設けることが認められるケースもありますので、最寄りの保健所に相談してみましょう。
店舗内の「席数・面積」を超えない
3つ目は、「店内の座席・面積」を超えない範囲に制限するというルールです。
これは、火事や地震などの緊急時に備えて、お客様を避難しやすくするための措置だと言われています。
確かに、テラス席の数が店内よりも多いと避難に時間がかかるうえ、パニックを誘発し兼ねません。
また、急な雷雨などでテラス席のお客様をスムーズに店内に誘導するためにも必要なルールと言えるでしょう。
さらに衛生管理を徹底し、周辺環境への影響を最小限にするためにも必要なルールです。
明確に区画して衛生的に管理する
4つ目は、衛生的に管理できるよう「テラス席だけを明確に区画する」というルールです。
植え込みやロープ付きのポールなどを配置して、境界線をはっきりさせておきましょう。
「お客様の視界を遮りたくない!」という場合は、底上げ用に設置したウッドデッキの上にテラス席を設けるのもオススメ。
もちろん、目的は衛生管理ですから定期的な清掃は必須です。
厨房・調理・食品取扱設備の設置はNG
5つ目は、安全および衛生面の観点からテラス席には「厨房設備・調理設備・食品取扱設備」を設けてはいけないというルールです。
▼テラス席に設置できない設備
- ストーブ
- エスプレッソマシーン
- ガス台
- サラダバー
- フリードリンクコーナー
- バイキングコーナー
テラス席のすぐそばにコーヒーメーカーやガス台があれば、できたてのドリンクやフードを提供できますので、お客様にも喜んでいただけるでしょう。
しかし、残念ながらテラス席に火器を使った設備を設置することは許可されていません。
東京都がコロナによるテラス営業の規制緩和を延長!
国土交通省「「新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについて」の一部改正等について ~占用期間を令和4年9月30日まで再延長しました~ 」によると、テラス席を設置する際の「道路占有許可」が下記のように規制緩和の対象になっています。
▼規制緩和の内容(東京都)
- 2020年以前:「道路占有許可」を得たうえで、使用料を支払う
- 2020年以降:周辺道路の美化に努めることを条件に占有料を免除し、最高10万円まで経費の一部を助成する
上記の規制緩和は店内飲食によるコロナの感染リスクを防止するのが目的なので、これまでも何度か延長が繰り返されてきました。
実際、東京都では令和5年3月31日まで期限を延長しています。
東京都では、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等の皆様を支援するための緊急措置として、都道及び臨港道路において、地方公共団体と地域住民・団体等が一体となって取り組む沿道飲食店等の路上利用の占用許可基準を緩和しています。また、都内区市町村に対し、同様の取組を依頼しています。
令和4年9月16日追記:占用許可基準緩和の期限を、令和5年3月31日まで延長しました。
ただし、助成金の申請は単独ではなく、商店街などで一括申請しなければなりません。
※本助成金の申請には、テラス営業等を予定している道路に面している商店街等が道路占用許可を受けていることが要件になります。
※占用許可を受けていない場合は、助成金の申請ができませんのでご注意ください。
※道路占用許可は、商店街等の団体による一括占用となっており、個別店舗ごとの申請はできません。
テラス席の成功例!失敗しない8つのコツとは?
ここからは、テラス席の効果を最大化するノウハウについてご紹介します。
▼テラス席を成功させるコツ
- 周辺環境・住民への配慮
- 掃除をこまめにする
- 虫除け対策を施す
- テラス席周辺を美しく演出する
- 暑さ・寒さ対策を施す
- 急な悪天候への備え
- 排気ガス対策
- 床材・テーブル・椅子などは耐久性で選ぶ
周辺環境・住民への配慮
テラス席の失敗例として代表的なのが、近隣住民とのトラブルです。
理解が得られるよう日頃からコミュニケーションを深めておくのはもちろん、下記のような配慮を徹底しましょう。
▼対策の一例
- お隣が一般の住居だった場合:ある程度、境界線から離して設置する
- 騒音対策:早朝や深夜営業を避ける/夜間はBGMのボリュームを下げる
- 異臭や虫の対策:清掃やゴミ処理を徹底する
掃除をこまめにする
土埃や排気ガスに晒されているテラス席は、1日に何度も掃除するのがセオリーです。
うっかりお客様の衣類を汚してしまっては、お店の印象が台無しになるのはもちろん、SNSであっという間に拡散されかねません。
ポイントは、設備だけでなくテーブルや椅子を設置しているアスファルトまでキレイに洗い流しておくこと。
アスファルトに飲み物や食べカスが残っていると、虫が集まってきたり異臭の原因になったりと衛生的ではありません。
▼テラス席を掃除するコツ
- 椅子やテーブルなど、お客様の衣類が触れる個所はホコリまで丁寧に拭き取る
- 椅子やテーブルの下に落ちている食べこぼしは拾うだけでなく、水で洗い流す
- 椅子やテーブルを使用していない時は、店内にしまう
虫除け対策を施す
屋外で飲食を楽しむテラス席だからこそ、欠かせないのが虫よけ対策です。
どんなに美味しく見た目が華やかなメニューでも、虫が飛び交っている空間では食べる気が失せてしまいます。
特に夏場は虫が発生しやすいため、下記のような対策を講じて予防しましょう。
▼虫よけ対策
- ゴミを放置しない
- 虫が嫌う匂いを放つハーブを置く
- アスファルト部分を、定期的に水洗いする
- ボウフラが大量発生しないよう、水たまりを取り除く
テラス席周辺を美しく演出する
徹底した清掃や虫よけ対策だけでは、テラス席の美化として十分とは言えません。
テラス席を設けたカフェが増えている以上、誰もが快適に過ごせる空間づくりに加え、競合店と一目で見分けが付くオリジナリティを考案してみましょう。
▼美しいテラス席を作る方法
- テーブルや椅子、パラソルなどの色を統一する
- 虫除けに効果的なハーブで花壇を作り、仕切りとして配置する
- 消毒薬の容器を、お洒落な陶器にする
暑さ・寒さ対策を施す
テラス席が敬遠されがちな夏や冬こそ、稼働率を上げる工夫が必要です。
▼暑さ・寒さ対策
- 夏:日除け用シェードを設置する/ウッドデッキを敷いてアスファルトからの照り返しを防止する
- 冬:ブランケットを提供する/椅子に座席用のクッションを配置する/エリア全体をビニールで囲う
ただし、前述した通りテラス席でのストーブは使用が認められていませんので注意が必要です。
急な悪天候への備え
近年の日本では、ゲリラ豪雨が多発しています。
急な大雨や積雪を想定し、下記のような対策を準備しておきましょう。
▼悪天候への備え
- パラソルやシェードの設置
- レンタル傘の提供
いざという時お客様を短時間で店内に誘導できるよう、模擬訓練を重ねておくのも効果的です。
排気ガス対策
道路沿いに配置されているテラス席だからこそ、排気ガスの対策は欠かせません。
そこでオススメしたいのが、透明なビニールシートでテラス席全体をスッポリ囲う方法です。
屋外ならではの雰囲気を楽しみつつ、排気ガスも防げるのが強み。
特に交通量が多いエリアでは、夏でもビニールシートを常設しているカフェも少なくありません。
早朝や夕方など交通量が増える時間帯だけ設置できる、格納タイプがオススメです。
床材・テーブル・椅子などは耐久性で選ぶ
デラス席に使用する床材・テーブル・椅子などの設備は、長時間にわたって雨風に晒されます。
だからこそ選ぶ際に重視すべきは「耐久性」と「メンテナンスのしやすさ」。
ありきたりな木製・布製・折り畳みパイプなどは安価な反面、水に塗れると腐ったりサビたりと劣化しやすいため、1度の雨で使えなくなってしまう可能性があります。
その点、下記のような素材はガーデン用として販売されているだけあって、耐久性に優れているうえメンテナンスも簡単です。
▼耐久性が高い素材
- ポリプロピレン
- ポリエチレン樹脂
- アルミ
- スチール
- 竹細工
- チーク材
深夜営業は可能?
結論から言うと、カフェのテラス席は午前0時以降に営業することはできません。
テラス席の深夜営業が禁止されている理由は、騒音など周辺環境への悪影響が予想されるためです。
ただし、カフェの店内であれば警察に深夜営業許可を申請すれば0時以降も営業することができます。
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学校で学ぶテラス席のマーケティング!
社会人向け専門スクールであるリライブのカフェ開業コースでは、各種マーケティングに関するカリキュラムが含まれており、テラス席についてもノウハウを提供しています。
卒業生の中には、時間帯に合わせて営業スタイルを変更することで、回転率を劇的にアップさせているカフェも少なくありません。
▼テラス席のマーケティング例
- 朝だけは通学・通勤にターゲットを絞ったテイクアウト、ブランチ以降はテラス席で集客する
- 回転率に特化したテラス席のレイアウト
- SNSで拡散されやすいビジュアル作り
「自店にテラス席を増設したい!」「オープンカフェを開業したい!」という方は、ぜひ「リライブ公式ホームページのカフェコース」をご一読ください。
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まとめ
テラス席にはいくつかの制約・条件が設けられているため、「自力で設置するのは難しいかも…」と思われた方も多いかもしれません。
とはいえ、テラス席がカフェにとって大きな集客効果をもたらすポテンシャルを秘めているのは事実。
「テラス席の設置を検討してみたい!」という方は、ぜひお気軽にリライブまでご相談下さい。
これまでの成功実績を基に、初心者でも取り組みやすいノウハウをご提案させていただきます。