カフェ・喫茶店の目標にすべき利益率は?改善方法5つもご紹介
目次
カフェ経営で避けては通れないのが「利益率」の問題です。
苦労して開業したお店も、目標とすべき利益率を把握していなければ長続きさせることはできません。
正しい利益率を求めるに必要なのは、「売上はいくら必要なのか?」と「経費はどの程度に抑えるべきなのか?」の2点です。
そこで本記事では、カフェや喫茶店が目標にすべき利益率・計算方法・改善方法について解説します。
カフェの利益率は何%を目標にすべき?
カフェや喫茶店のオーナーを目指している方の多くは、「子供の頃からの夢だった!」「好きなことを仕事にしたい!」という動機が発端になっているようです。
とはいえ、カフェや喫茶店の経営はあくまでビジネスですから、一定の「儲け」が得られなければ商売そのものが成り立ちません。
中には、経営の基本である「毎月いくら売上れば良いのか?」を想定せずに開店し、わずか1~2年ほどで閉店に追い込まれるケースも珍しくないのです。
特筆すべきは、たとえどんなに「売上」が好調でも肝心の「利益率」が確保できなければ赤字経営になる、という点でしょう。
カフェや喫茶店における理想的な利益率には諸説ありますが、一般的には10%ほどが合格ラインとされています。
ちなみに、利益率は経常利益率とも呼ばれており、飲食店全般において10%前後が合格ラインの目安です。
利益率の計算方法
カフェや喫茶店の利益率は、下記の式を使って計算します。
▼利益率の計算式
- 1、利益=売上-変動費用-固定費用
- 2、利益率=利益/売上
つまり、最初に「利益」を算出し、その利益が売上に占める割合(利益率)を算出する、という2段階方式になっているのです。
利益の算出に必要な「変動費用」と「固定費用」
カフェの利益は「 売上-経費」で算出します。
ただし、経費は「変動費用」と「固定費」の2種類に分かれているので注意が必要です。
固定費用だけであれば毎月同じ金額を計上できますが、変動費用に関しては出費の度に帳簿付けをしたうえで月ごとに計算しなければ、正確な利益は算出できません。
▼変動費用(売上の増減によって変わる費用)
- 商品の原価:コーヒー豆/ソフトドリンク/食材など
- 人件費:オーナー本人の給料/アルバイト代など
- 水道光熱費:暖房費/ガス代など
- 備品など消耗品補充費:ナプキン/伝票/食器など
- 販売促進費:ホームページの作成/チラシやDM代/SNSや動画広告など
- 通信費:固定電話/インターネット代金など
▼固定費用(売上の増減にかかわらず必ず発生する費用)
- 店舗の家賃、ビルの管理費
- クレジットカードの手数料
- 警報装置などのセキュリティー費用
- 設備のリース料金
- 減価償却費
- 保険
飲食店におけるFood(食材費)とLabor(人件費)の合計を「FLコスト」と言い、カフェにおける経費全体の大半を占めています。
売上に対して10%の利益を確保するには、食材費と人件費を合わせたFL比率を55%ほどに抑えられるかどうかがボーダーラインです。
利益率10%の確保に必要な売上は?
当然ながら、利益率は経費だけでなく売上によっても変動します。
つまり、10%の利益率を確保するために「いくらの売上が必要なのか」、その売上に対して「経費をどの程度に抑えるべきなのか」を並行してコントロールしなければなりません。
▼利益率の一例
- 売上100万円-変動費用70万円-固定費20万円=利益10万円(利益率10%)
- 売上80万円-変動費用55万円-固定費15万円=利益10万円(利益率10%)
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利益率の計算シュミレーション
例題として、下記の条件を前提としてカフェの利益率を計算してみましょう。
▼シミュレーションの前提条件
- 営業日数:25日/月
- 1日の来店客:80人(1人あたり1杯)
- メニュー:コーヒーのみ(価格500円)
- 原材料費:コーヒー豆の原価1,000円/kg
- スタッフ:オーナー+アルバイト2人(8時間交代/時給1,000円)
- 家賃:200,000円/月
- 水道光熱費:50,000円/月
上記の前提条件から、売上・変動費用・固定費を算出すると下記の結果になります。
▼1営業日あたりの売上と経費の計算結果
- 売上:80人×1杯500円=40,000円
- 原材料費:1杯×10g×80人=0.8kg=800円
- 人件費:3人×8時間×1,000円=24,100円
- 家賃:20万÷25日=8,000円
- 水道光熱費:50,000円÷25日=2,000円
上記の計算結果から、さらに「利益」と「利益率」を算出してみましょう。
▼利益率の計算
- 売上40,000円-費用34,800円=利益5,200円
- 利益5,200円÷売上40,000円=利益率13%
ただし、上記のシミュレーションではかなりザックリと解説していますので、メニューを増やしたり家賃が高額だったりすると利益率が下がります。
カフェの利益率が上がらない原因
結論から言うと、カフェや喫茶店の利益率が上がらない原因は「売上の低さ」、または「経費の多さ」のどちらかです。
具体的には、下記の4点が挙げられます。
▼利益率が低い理由
- 過剰な初期投資:内装のリフォーム/調理器具/椅子やテーブル/ブランドの食器など
- 売上が低い: 客単価/回転率など
- 変動費用が高すぎる:食材費/人件費など
- 固定費用が高すぎる:家賃やリース代/クレジットカード手数料など
特に失敗例として多いのが「過剰な初期投資」です。
通常、賃貸でカフェをオープンする際に必要な開業資金は、1年間の運転資金を含めて1,000万円~1,500万円ほどが目安とされています。
そもそも、カフェの利益が月10万円を超えるまでには少なくとも6ヵ月~1年はかかるのが一般的です。
限られた開業資金の大半をリフォームや機材費などに投入した場合、どんなに経費を抑えても短期間で経営が圧迫されるのは言うまでもありません。
「売上アップ」や「費用の削減」は対処法がありますが、初期費用だけは事前のリスク管理が不可欠なのです。
開業資金と初期費用については、下記の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にして下さい。
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- カフェ開業前の疑問点まとめ!準備期間のスケジュールや開業資金を解説
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- 猫カフェを開業する流れ!資金の目安・物件の選び方・失敗しないコツをご紹介
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利益率を向上させるためにできること
利益率を改善する方法は、「売上を上げる」または「経費を削減する」しかありません。
ここからは、具体的な改善方法を5つご紹介します。
▼利益率の改善方法
- メニューを見直して客単価をアップする
- 新規のお客様を開拓する
- リピーターを増やす
- 席数の増加と混雑時の工夫
- 座席稼働率・回転率を上げる
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メニューを見直して客単価をアップする
客単価のアップと言っても、単純に既存メニューの価格を値上げする手法はおすすめできません。
特に、カフェや喫茶店がメインで提供しているコーヒーやソフトドリンクの価格は、競合他社間の差が小さく似通っているのが実情です。
価格を値上げするのではなく、プラスαのメニュー開発に力を入れる方が得策でしょう。
ポイントは、お客様に「サイドメニューも追加しよう!」と思ってもらえるかどうか。
反対に、売上に貢献していないメニューを除外するのも賢い方法です。
▼客単価をアップさせるメニュー作り
- 注文数のない不人気メニューをピックアップし、利益率が低ければ提供を打ち切る
- ランチのセットメニューや、セサミクッキーなどのちょっとしたデザートを増やす
- 人気メニューや定番メニューに付加価値を付けるため、追加料金でトッピング加える
- 季節限定の食材など、限定メニューをコンスタントに提供する
- おすすめ商品やサイトメニューなど、スタッフからの案内を充実させる
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新規のお客様を開拓する
1度も来店していない新規のお客様を獲得するために必要な要素は、何と言っても「話題性」と「宣伝力」です。
▼新規のお客様を開拓する
- 旬のフルーツを使ったデザートフェアなど、ターゲット(客層)にあったイベントを開催する
- イベント情報や新メニューの情報について、SNSなどで拡散する
- 店頭に人目を引く看板を設置する
- 店舗の周辺エリアでチラシを配る
- GoogleマップやAppleマップを活用する
- グルメサイトや口コミサイトに登録する
まずは、お店の認知を向上させるのが最初の一歩。
特にお店の周辺エリアでの認知度アップには、昔ながらの看板やチラシ配りが未だに有効です。
オフィス街や学生の通行人が多いエリアなら、SNS・動画配信といったデジタル手法にも挑戦してみましょう。
リピーターを増やす
リピーターを獲得するために重要なのは、「繰り返し通う価値」があるかどうか。
1度来店してお客様に「何度も通うことで得をする!」と思ってもらうには、下記のような手法が有効です。
▼リピート率を上げる方法
- ポイント制度
- スタンプカード
- クーポン
- 飽きない定番メニュー
- 人気メニューのバリエーションを増やす
- 無料Wi-Fiなど、居心地の良い空間づくり
- 子供づれ専用のエリアを確保する
また、ランチメニューには「この価格なら他店よりもお得!」と思ってもらえる値段設定が求められます。
席数の増加と混雑時の工夫
ある程度カフェの経営が順調であれば、「座席さえ増やせれば売上も上がるのに…」と思われる方も多いでしょう。
確かに、認知度・客足が軌道に乗っているカフェなら、「座席の増加=売上アップ」という方程式が成立します。
ただし、カフェの店内は空間そのものがサービスの一環ですから、闇雲に座席を増やすのは考え物です。
お客様が快適に過ごせるよう、ある程度のスペースを確保しつつ席が密集しないように工夫しなければなりません。
▼座席に関する工夫
- テラスなど、「外部スペースの座席」を設置する
- 簡単に移動できるテーブルを設置して、人数に合わせてセットアップする
- 座席下に手荷物が入れられるカゴを用意するなど、スペースに余裕を持たせる
- お客様の手荷物を、スタッフの更衣室などで預かる
- 店の備品をバックヤードに移動させて、新しい座席スペースを確保する
スペースの都合でどうしても座席が増やせない場合は、テイクアウトメニューを充実させるのも賢い方法です。
合わせて、下記のような「満席対策」も講じておきましょう。
▼混雑時の工夫
- 混雑時でもお客様が他店へ流れないよう、「待合席」を用意する
- ボードなどを使って「待ち時間」を提示する
- 秋冬には、防寒対策のブランケットを提供する
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座席稼働率・回転率を上げる
カフェの座席稼働率と回転率は混同されがちですが、下記のような違いがあります。
▼混雑時の工夫
- 座席稼働率:実際に使えわれている席数の割合
- 回転率:同じ座席に何人(何組)のお客さんが座ってくれたか
とはいえ、どちらも改善の対応策に大きな違いはありません。
▼座席稼働率と回転率を上げる方法
- 人数に合わせた座席にご案内する
- 1人でも気軽に座れるカウンター席を用意する
- お客様の足元に、手荷物を置くスペースを確保する
- 混雑が予想される直前に来店したお客様には、席移動の可能性を伝えておく
まとめ
カフェや喫茶店の経営が長続きするかどうかは、売上ではなく利益率によって決まります。
そして、利益率は「売上アップ」と「経費のコストダウン」のバランスで成り立っているのです。
ただし、カフェの売上を短期間で大幅にアップさせるのは至難の業。
まずは、費用の大部分を占める「材料費」と「人件費」の見直しから始めてみましょう。
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