コーヒースタンドとは?必要な資金・開業の流れ・収入相場を解説
目次
「コーヒースタンドとは?」と聞かれると、「立ち飲み」や「テイクアウト」を連想する方がほとんどでしょう。
しかし、カフェオーナーを目指している方にとってコーヒースタンドの魅力はそれだけではありません。
そこで本記事では、コーヒースタンドとはどのような仕様なのかを踏まえたうえで、開業資金の相場・必要な設備・オープンまでの流れ・収入の目安などについて解説します。
コーヒースタンドとは?
結論から言うと、日本におけるコーヒースタンド店に明確な定義はありません。
とはいえ、飲食店を紹介している専門サイトでタグ検索すると、そのほとんどが下記に挙げたスタイルの内いずれかに当てはまっているようです。
▼コーヒースタンドの代表的な仕様3つ
- コーヒーの「テイクアウト専門店」
- 座席は設けていないがテーブルだけ利用でき、立ち飲みが可能な「省スペース店舗」
- カウンター席のみなど、イートインスペースを最小限に抑えた「小規模カフェ」
アルコールを提供している立ち飲みBarと似たようなイメージ、と言った方が分かりやすいかもしれません。
ちなみに、複数の別名があるのもコーヒースタンドならではの特徴です。
▼別名の一例
- カフェスタンド
- コーヒーバー
- コーヒーキオスク
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「コーヒースタンド」と「カフェや喫茶店」の違いとは?
コーヒースタンドの特徴を理解するには、一般的なカフェや喫茶店と比べてみるのが近道です。
この段落では、特に違いが明確に現れている5項目について比較してみました。
▼「コーヒースタンド」と「カフェや喫茶店」の違い
コーヒースタンド店 |
カフェ/喫茶店 |
|
---|---|---|
提供する商品 |
主力はスペシャルティコーヒー/クッキーなど既成のスイーツ |
コーヒー/軽食/デザートなど |
店舗の規模 |
テイクアウト専門/カウンター席など少数の座席を設けた小規模店舗 |
カウンター席の他にテーブル席を設けている大中規模店舗 |
店の価値 |
コーヒー自体の美味しさやクオリティ/豊富なコーヒーメニュー |
カフェの空間/コンセプト/メニュー全般の味 |
お客様が来店する目的 |
美味しいコーヒー/自分好みのアレンジを楽しみたい |
コーヒーや食事だけでなく、店内で過ごす時間も大切 |
主な経営形態 |
個人オーナー |
個人経営/フランチャイズ |
コーヒースタンドで主流のスペシャルティコーヒーとは?
スペースや座席の有無などが違いとして注目されがちですが、最大の相違点は通常のカフェよりもコーヒースタンドの方が「こだわり抜いた高品質のコーヒーを提供している」という点でしょう。
カフェや喫茶店を訪れるお客様の多くは、「飲食」と「寛げる空間で過ごす時間」をセットで求めています。
これに対し、テイクアウトや立ち飲みがメインのコーヒースタンドを訪れるお客様、何より「美味しいコーヒー」を求めている傾向が強いのです。
だからこそ、コーヒースタンドの多くが下記の条件を全て満たしている「スペシャルティコーヒー」を看板メニューとして提供しているのでしょう。
なお、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)では主に下記の3点を定義として挙げています。
▼スペシャルティコーヒーの定義
- 品質管理から製造工程にいたるまで体制が一貫しており、徹底的に管理されている
- 豊な風味が際立っており、爽やかな酸味特性を伴う素晴らしい美味しさ
- 国際審査員に認められたコーヒー豆を使用している
▼「スペシャルティコーヒー」と「一般的なコーヒー」との違い
スペシャルティコーヒー | 一般的なコーヒー | |
---|---|---|
1杯あたりの価格相場 | 500円~1,000円 | 300円~500円 |
焙煎度 | 浅〜深煎り | 深煎り |
オリジン | シングル | ブレンド |
コーヒースタンドの開業資金はいくら?
結論から言うと、従来型のカフェや喫茶店よりもコーヒースタンドの方が少ない開業資金で済みます。
▼コーヒースタンドの開業資金が安い理由
- 店舗面積5坪の省スペースでも運営できる
- テイクアウト専門店なら、座席やテーブルが不要
- 軽食などを提供する必要がないので、最低限の設備投資でOK
- 店舗スペースが狭く配膳の手間がかからないので、従業員を雇わなくて済む
中には、数カ月分の家賃60~70万円と焙煎機などの設備投資130万円、トータル200万円ほどの開業資金でオープンしたオーナー様もいるほどです。
下記の通り、他スタイルの開業資金の相場と比較するとその差は歴然。
20代や30代前半といった自己資金の乏しい世代のオーナー様が多いのも、当然かもしれません。
▼スタイル別カフェの開業資金相場(運転資金を含む)
- 大規模店舗の賃貸(15坪・22席):1,000万円ほど
- 小規模店舗の賃貸(10坪・14席):700万円ほど
- 移動カフェ:470万円ほど
- 自宅カフェ:760万円ほど
- 猫カフェ(自宅リフォーム):400万円ほど
- 猫カフェ(賃貸):1,000万円ほど
ただし、どのスタイルであろうとカフェの開業資金を安く抑える方法はいくらでもあります。
水回り以外の内装はDIYで行う、必要な設備を中古で揃えるのも開業資金を節約する効果的な手段です。
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コーヒースタンド開業に必須の設備とは?
店舗スペースが狭いとはいえ、最低限の設備は必要です。
一例として、ワンオペのテイクアウト専門店に必要な設備と中古で購入した場合の費用相場をご紹介します。
▼必須設備と費用相場
- 製氷機:5~15万円ほど
- 冷蔵庫:5~10万円ほど
- 冷凍庫:3~8万円ほど
- 流し・シンク:2~5万円ほど
- 給湯器:5~10万円ほど
- 厨房設備:10~20万円ほど
- コーヒーマシン:5〜10万
- エスプレッソマシン:経年数による
- 焙煎機:経年数による
中古の業務用を扱っている専門店だけでなく、ネットオークションなどでも掘り出し物が見つかるかもしれません。
コーヒースタンドの開業方法と流れ
開業方法や手順は、一般的なカフェや喫茶店と大きく変わりません。
コーヒースタンドを開業する流れ
▼お店のコンセプト作り
- 事業計画の作成
- 必要な開業資金を算出する
- 資金を調達する
- 返済計画を立てる
- 物件探し
- 店舗デザインや内装のイメージをまとめる
- 設備機器の選定
- メニュー開発と価格設定
- 物件の契約
- 施工会社を選定する
- 設備機器の選定
- 融資の申請
- 内装工事を開始する
- 店名の決定
- HPやチラシの作成
- 助成金の申請
- 資格取得と営業許可申請
- 仕入れ業者の決定
- 消耗品など、備品の購入
- サービスのシミュレーション
コーヒースタンドを開業するために「調理師免許」を取得する必要はありませんし、収容人数が30名を超えるような大規模店舗も考えにくいので「防火管理者専任届」も不用です。
▼資格や届出
- 食品衛生責任者:全てのカフェに必要な資格
- 喫茶店営業許可証:全てのカフェに必要な届け出
- 菓子製造業営業許可証:菓子類の販売を行う際に必要な届け出
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コーヒースタンドの収入相場
テイクアウト専門店を含む小規模カフェの収入相場は、ひと月あたり10~30万円ほどが目安と言われています。
ただし、オープンしたての頃は10万円を下回る月も珍しくありません。
経営が軌道にのってコンスタントに毎月20万円以上の収入が得られるようになるには、少なくとも半年~1年ほどかかるのが一般的です。
また、カフェの経営収支を算出した際に「変動費+固定費=売上の90%以下」に納まっている、つまり「利益率が10%以上」であれば経営状態が安定していると判断できます。
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開業するならコーヒースタンド?それともカフェ?
日本では、長らく喫茶店スタイルのカフェが主流でした。
その後、2010年代頃から日本でもコーヒースタンドが登場し、徐々に知名度が浸透しているようです。
「カフェ業界の新たなスタンダードに成長する可能性を秘めている!」と言われているのは、混雑した屋内店舗が敬遠されがちな時世も影響しているのかもしれません。
実際、まだまだ店舗数は少ないものの都内を中心に少しずつ増加しているのが実情です。
なぜ低迷している飲食業界でコーヒースタンドを開業する方が増えているのか、その理由として下記の4点が挙げられます。
▼カフェよりコーヒースタンドが向いている人
- 少ない資金でカフェのオーナーになりたい人
- 小さな店舗でも、人通りが活発な一等地に出店したい人
- 配膳などのサービスが煩わしい人
- 何より、コーヒーの味で勝負したい人
上記のような考えをお持ちの方には、要件にマッチするコーヒースタンドで開業することもおすすめです。
まとめ
地域によっては馴染みの薄いコーヒースタンドですが、都内では続々とオシャレな新規店舗がオープンしています。
少ない開業資金・狭小スペースの店舗・ワンオペ営業の全てが叶うのは、コーヒースタンドならではの魅力です。
テイクアウトだからこそ、短い来店時間でも効率的な収益アップが見込めるというメリットも見逃せません。
「開業資金に大金を費やすのは避けたい!」「自慢のスペシャルティコーヒーを広めたい!」と思われている方は、大きな可能性を秘めているコーヒースタンドを検討してみてはいかがでしょうか。