カフェ開業の資金調達ガイド:公庫・信用金庫の“正しい歩き方”
目次
「カフェを開きたいけど、いくらお金がかかるの?」「どこから借りればいい?」
そんな疑問を抱えているあなたのために、カフェ開業の資金について、日本政策金融公庫(以下、公庫)と信用金庫(以下、信金)を中心に、必要な金額の目安と具体的な借り入れの進め方を解説します。
まずは知っておきたい!カフェ開業にかかるお金の現実

カフェの開業には、物件取得費や運転資金を含めると、現実的には800万円〜1,200万円程度が必要となるケースがほとんどです。500万円程度の予算で収まるのは、居抜き物件を活用したり、自宅を改装したりするような特別な場合です。
主な費用の内訳は以下の通りです。
• 物件取得費: 家賃の約11か月分(敷金・礼金、仲介手数料など)が目安です。たとえば家賃20万円の物件なら、これだけで220万円以上かかります。
• 内装工事費: 坪単価で考えるのが一般的です。居抜きなら坪30万〜55万円、スケルトンなら坪65万〜100万円が目安。数百万円単位で差が出るため、物件選びは非常に重要です。
• 厨房機器費: 厨房機器の費用は、カフェのコンセプトによって大きく変動します。
o本格的なエスプレッソマシンは、グラインダーと合わせて50万円〜100万円以上かかるものも珍しくありません。
o自家焙煎を考えているなら、小型の焙煎機でも50万円以上、ネット販売も視野に入れた中型以上になると300万円以上かかることもあります。
o通常のオーブンだけでなく、スチームコンベクションオーブンやパン・スイーツ専用のデッキオーブンも50万円〜100万円程度するものがあります。
このように、何を“売り”にするかによって、必要な機器とそれに伴う費用が大きく変わるため、事前にしっかりと計画を立てることが重要です。
公庫ルート:創業期の“王道”を押さえよう

公庫は、創業したばかりで実績や担保がなくても借り入れしやすいのが大きなメリットです。据え置き期間(返済を猶予してくれる期間)が最大5年と長く、開業直後の資金繰りを助けてくれます。
特にカフェ開業と相性がいい代表的な融資制度は以下の2つです。
(1) 新規開業・スタートアップ支援資金
- 対象: 新規事業を始める方や、事業を開始して間もない方。
- 限度額: 最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)。
- ポイント: 創業の“ど真ん中”の制度です。ほとんどの新規開業者がまず検討する、使い勝手の良い融資です。
(2) 生活衛生貸付
- 対象: 飲食業や理美容業など、生活衛生に関わる事業を営む方。
- ポイント: カフェはこれに該当します。特に「衛経(生活衛生改善貸付)」は、無担保・無保証で2,000万円まで借り入れでき、小規模カフェの開業や設備改善に有効です。
公庫の審査で重要視されるのは、以下の3点です。
- 創業計画書の完成度: 「なぜこの場所で、このコンセプトのカフェをやるのか?」という根拠を明確に示しましょう。
- 自己資金の妥当性: 計画している開業資金に対して、自己資金が十分にあるか(一般的に開業資金の1/3以上が目安)。
資金繰りの見通し: 売り上げ、家賃、人件費、原価率などを具体的に計算し、返済の見込みがあることを示します。
信用金庫ルート:保証協会+制度融資を活用しよう

信金からの借り入れは、信用保証協会と自治体がセットになった「制度融資」を活用するのが一般的です。
(1) 信用保証協会付き融資
信用保証協会とは、創業者が金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人となってくれる機関です。これがあることで、実績のない創業者でも信金からの融資が受けやすくなります。
(2) 自治体の“制度融資”
多くの自治体が、地域の金融機関や信用保証協会と協力して、独自の融資制度を設けています。例えば、東京都の制度融資では、利子や保証料の一部を補助してくれる制度があります。これにより、借り入れにかかる総コストを抑えられる可能性があります。
カフェならではの資金計画づくりのヒント

資金の“沼”にはまらないために、メリハリのある投資計画を立てましょう。
- 内装は居抜きを活用する: スケルトン(内装が何もない状態)からの工事と比べて、数百万円も初期費用を抑えられる場合があります。
- 厨房機器は“新品・中古・リース”を組み合わせる: エスプレッソマシンなど、味に直結する機器は新品にこだわっても、製氷機や冷蔵庫は中古やリースで費用を抑えるといった工夫が効果的です。
- リース契約の注意点: 初期投資を抑えるためにリースを検討する方も多いですが、個人店の場合は開業後数年間はリース契約ができないケースも多く、利用できたとしても通常価格よりかなり高額になる場合があるため注意が必要です。
- 物件取得費を甘く見ない: 家賃の約11か月分という「最初の壁」を意識し、物件選びの段階で予算オーバーしないように注意しましょう。
コンセプトと費用のバランスを考える: どのようなカフェにするか(売り、差別化できる点、スタッフ人数、動線)を明確にすることで、適正なコストを設定し、効果的な投資回収計画を立てることができます。
実務の進め方:資金調達のチェックリスト

資金調達をスムーズに進めるための、具体的なステップは以下の通りです。
- 創業計画書と資金繰り表を完璧に仕上げる: 「この計画なら絶対に成功する」と説明できるストーリーを練り上げます。
- すべての見積もりを揃える: 内装工事の見積書、厨房機器のリスト、物件の契約条件など、具体的な金額の根拠となる書類を準備します。
- どの“公的レール”に乗るか早めに決める: 創業期のキャッシュフローを重視するなら公庫、利子や保証料の補助を期待するなら信金×制度融資など、メリットを比較して早めに選択しましょう。
- スケジュールを逆算する: 審査には時間がかかるため、物件の契約や工事の着工など、資金が必要になるタイミングから逆算して、申し込みのスケジュールを立てましょう。特に信金の制度融資は「保証協会審査」と「金融機関審査」の二段階審査なので、余裕を持って動くことが大切です。
まとめ

カフェ開業の資金は、物件取得費や運転資金を含めると、800万円〜1,200万円がひとつの目安です。コンセプトに応じた適切な設備投資計画を立てることが、融資獲得と事業の継続に不可欠です。リライブフードアカデミーの卒業生が95%以上の融資獲得率を誇るように、いかに適切な事業計画を立てるかが成功の鍵となります。
公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」や「生活衛生貸付」は、創業直後のカフェに非常に適した制度です。また、信用金庫は信用保証協会や自治体の制度融資と組み合わせることで、審査のハードルを下げ、金利や保証料の負担を抑えられる可能性があります。
まずは「どんなカフェを、いくらで、何席で」という具体的な事業イメージを固めてから、それぞれの制度の要件に合わせて書類を整えるのが、資金調達成功への一番の近道です。
資金調達について、さらに詳しく知りたいことはありますか?
詳しく知りたい方は、是非、リライブフードアカデミーの個別説明会や開業相談にご参加ください。





